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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第二章
47/211

第47話 異変

 ~~再び市街~~


  「なかなか、いませんね…」


  「そうだな。だが、諦めずに捜すぞ。お前達」


  「はい」


  タイラとシシカドの隊員達は、街の中でヒトツキを探していた。


 もちろん今いる場所に辿り着くまでに何体かヒトツキを退治した。


  しかし、シュウの生気はまだ戻っていなかった。


  「一体どこへ…」


  タイラがぽつりと呟いた。


  やはり体が重い。


 もうかれこれ数時間ヒトツキを捜している。


  歩き疲れた?


 いや、そうじゃない。


 あの最初の一体とその次一体…別々に退治した事が堪えているのだ。


  「俺もまだまだ、訓練が足りないな」


  まあ、それは今悔んでも仕方のないことか…


  タイラは気を取り直し、


  「よし、他を当たろう」


  と、隊員達に声を掛けた。


  「そうですね。そうしましょう」


  イスミが応じた。


  「しかし、これだけ捜してるのに見つからないなんて…変ですね」


  カイが呟く。


  「もしかして…隊長」


  リュウが何かに気付き、空を見上げた後、タイラに向かってそういうと、


  「…だな。そうかもしれない」


 タイラも同じように空を見た。


 アカツキは、かなり西の空へ傾いている。


  「だとすれば、まずいですよ?」


  「分かってる。よし急ぐぞ」


  タイラ達はどこかへ向かって走りだした。


  彼らが向かう先は、時計台だった。


 あの、時が止まったままの大きな時計台。


 厳密にいえば、その下にある広場だ。


  何故今そこへ向かうのか。


 もちろんそれには理由がある。


 月が西の空へ傾いている。


 そして後数時間も経てば東の空が少しずつ明るんでくる。


 そう、このアカツキの夜が終幕を迎えるのだ。


  その前に彼らは広場へ辿り着いていなければならなかった。


  アカツキが終わる。


 すなわち、ヒトツキがいなくなるその前に。


 シュウを救うために。


  だが、それは容易いことではないかった。


 何故なら、そこに居るのはヒトツキだけではないからだ。


 ヒトツキ以外にいる者、それは『回収者』だ。


 奴らの強さは、ヒトツキの比ではなかった。


 今までに奴らにやられたシシカドの隊員も数知れない。


  しかも、そこに居るのは、たった一体…。


 日によって現れる『回収者』は違うが、常に一体で現れるのだ。


 一体…そう、あれは人ではない。


 その様相は人のようではあるが、時として人でなくなる。


 ヒトツキ以上の化け物だ。


  なんとしても、奴らの手に落ちる前にシュウの生気を持つヒトツキを倒さなければならない。


  出来なければ、シュウを救える確率は無に等しくなるのだから。


  そのような事を考えながら、広場へ急ぐタイラは不意に何か違和感を感じた。



  『ヒトツキがいない!』



  間もなく広場へ到着するというのに、辺りにはヒトツキらしい影が見当たらないのだ。


  「どういうことだ?」


  タイラは立ち止まり周囲を見渡す。


 しかし、それらしいものは、やはり見当たらなかった。


  他の三人もその異変に気が付いたのだろう。


 タイラ同様、周囲を見渡した。


  静まり返った広場には、やはりヒトツキの姿はない。


  「何処だ?何処に行ったんだ」


  タイラには焦りが生じていた。


  『まさか…もう回収されてしまったのか?いや、まさか。まだ時間はあるはずだ』


  タイラは再び空を見上げた。


  『まだアカツキはある……』


  次に、空から時計台の三角屋根の上へ目を移す。


  『奴らもいない…では何処へ…』


  「隊長」


  リュウが声を掛けてきた。


  「静かにしてくれ。今、考えてる」


  「いや、しかし、隊長」


  「なんだ一体?」


  タイラ焦りのあまり、声を荒げた。


  「す、すいません。しかし、あそこを見て下さい」


  リュウは申し訳なさそうにそういうと、広場の端の方を指差した。


  「あ、あれは…」


  タイラの目に入ってきたのは、間違いなく、ヒトツキだった。


  しかしそれは、こちらへ向かって来ているわけではなかった。


  「隠れろ!」


  タイラは急いで隊員達に声を掛けると、自らも建物の陰に身を潜めた。


  ヒトツキはタイラ達に気付く様子もなく、何処かへ向かって歩いていた。


  「隊長、どうしますか?」


  イスミが尋ねる。


  「…いや、手出しはするな」


  ヒトツキが向かう先が気になる。


 そう思ったタイラは静かに動き出し、


  「尾行するぞ。遅れるなよ」


  三人にだけ聞こえるように小声で伝えた。


  彼らは無言で頷き、隊長の後を追った。

 

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