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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第二章
45/211

第45話 予感

 

  ~~某所~~


「シュウキ、シュウキはいるか?」


  部屋の中で声が響く。


  しばらくすると、部屋の扉をノックする音がし、その向こうから、


  「シュウキでございます」


  と、声が聞こえた。


  「入るがよい」


  そう言われた後、扉が開き、男が中に入って来た。


  「お呼びでしょうか。コウエン様」


  シュウキが入って来たそこはもちろん、コウエンの部屋に他ならない。


  しかし、先程とは部屋の雰囲気が異なっていた。


 夕刻にシュウキが訪れた時、この部屋は漆黒に包まれていた。


 しかし、今は違う。


 部屋の中、全体がほのかに赤く染まっていた。


  窓のない部屋なので、その光は外部からのものではなかった。


  そう、その光の発生源は部屋の中央にあるテーブルの上。


 つまり、あの手の平大の水晶が発するものだった。


  「…眩しいか?シュウキよ」


  椅子に座り、その光を眺めたままコウエンはシュウキに問い掛けた。


  「滅相もございません。いや、むしろ心地好く感じる程でございます」


  シュウキは思うままに答えた。


  「そうか…」


  「それで、コウエン様。一体、何用でございましょうか?」


  そう聞かれコウエンは、


  「いや、用というのは、他でもない。外のことだ」


「外…でございますか?」


  「そう外だ。後数時間もすれば、今宵のアカツキも終幕を迎える。そこでだ、シュウキ、お前にも外へ出向いてもらいたい」


  「つまり、『エンセキ』の回収…でございますね?」


  「察しがよいな。いかにもその通りだ。先に聞いたが、今宵は三地区に百五十…と申しておったな?」


  「はい。おっしゃる通りでございます」


  「数としては、申し分ない。が、それを回収するとなると、如何せん時間が掛かる。お前達と違い、『エンセキ』は日の光を浴びてしまうと…ただの石だ。せっかく集めた生気も、元の人間のところへ戻ってしまう」


  「そうなる前に全て回収せよ…と」


  「そうだ。無論、お前一人に任せる訳ではない」


  そう言うと、コウエンはおもむろに席を立ち、扉の方を向き、


  「ガクテイ、ジンキ。近くにおるか?」


  そう声を掛けた。


  間もなくして、扉が開き、男が大小、二人入って来た。


  「呼んだか?オヤジ」


  大きい方の男がいう。


  「馬鹿者!コウエン様に何という口の聞き方を…申し訳ございません、コウエン様」


  小さい方の男が慌てた様子で頭を下げ謝った。


  「よいのだジンキ。ガクテイの口が悪いのは分かっておる。…だが、せめてノックぐらい出来んのか?」


  と、言いながらコウエンはガクテイを睨みつけた。


  「…悪かったよ」


  「申し訳ございませんだろうが、馬鹿者!」


  ジンキは再び、ガクテイを叱り付けたが、当の本人は気にしたそぶりもなく、


  「で、一体何事だ?オヤジ」


  それに対しコウエンも、気にした様子もなく、


  「用というのは他でもない。『エンセキ』の事だ」


  「なんだ、もうそんな時間か。面倒臭え」


  「ガクテイ!貴様!」


  悪態をつくガクテイにジンキの怒りは頂点を迎えようとしていた。


  「騒がしいぞジンキ」


  しかし、コウエンが叱り付けたのはジンキの方だった。


  「…申し訳ございませんコウエン様」


  先程までの怒りは一気に失せ、逆に青ざめた顔でジンキは頭を下げた。


  「とにかく、俺達二人で回収してくりゃいいんだろ?いつものように」


  ガクテイは何食わぬ顔で尋ねた。


  「いや、今回は三地区あるのでな、このシュウキも連れて行け」


  そう言われたシュウキは二人に向かって頭を下げた。


  「こいつも一緒に?」


  「そうだ。回収方法はお前達に任せる。よろしく頼んだぞガクテイ」


  コウエンにそう告げられ、


  「分かったよ、オヤジ。任せとけって。さ、行くぞ、お前ら」


  「きさ…。では、失礼します、コウエン様。……ガクテイ!」


  部屋を出て行きながら、ジンキはガクテイ再び叱り付けていた。


  「では、私も、失礼します」


  シュウキも頭を下げ部屋を後にしようとした時、


  「シュウキよ」と、呼び止められた。


  「はい」


  「今日は何やら予感がする。…お前の兄弟が生まれるところをしっかりと見てくるがよい」


  そう言われたシュウキは、頭を深くさげ、部屋を後にした。

 

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