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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第二章
35/211

第35話 部屋の中で

  「リアン。アンジとトウジが帰って来たぞ」


  中に入るなり、園長は奥の部屋に向かって声を掛けた。


  すると、その部屋のドアが開き、一人の女性がこちらへ向かって小走りに駆け寄って来た。


  「アンジ、トウジ!」


  「リアンさん」


  そう言った時、俺達二人は、リアンさんに抱きしめられていた。


  「心配したのよ」


  リアンさんに泣きながらそう言われ、


  「ごめんなさい」


  と、俺は謝った。


 彼女は園長の奥さん…つまり、俺達の母親代わりだ。


  いつも優しく笑顔を浮かべている彼女が今、大粒の涙を流している。


  俺達はそれほど心配を掛けるような事をしたのか…


  改めて自分達のした事を後悔した。


  「本当にごめんなさい、リアンさん」


  「いいのよ。あなた達が無事だってことが分かったんだから。…あなた達にも何かあったら…私…」


  「えっ?」


  リアンさんの言葉に俺は一瞬、固まった。


  「俺達…『にも』?」


  「リアン!」


  俺が、リアンさんに尋ねようとした時、園長が大声で彼女の名前を呼び、首を横に振る。


  「その子達は疲れているんだ。早く部屋へ連れて行って寝かせてやってくれ。アンジ、トウジ、今日はもう遅い。明日、ゆっくりと話そう」


  そう言った園長の目も、部屋の明かりの下でよく見ると、赤く充血していた。


  「…そうよね。…さあ、あなた達、部屋に戻りましょう」


  そうリアンさんに促され、俺達は自分達の部屋のある二階へと続く階段をゆっくりと上った。


  後ろからついて来るリアンさんの涙の訳が気になる。が、聞きたい気持ちをぐっと堪え、俺達は自分の部屋の前に立った。


  「…疲れたね」


  トウジが俺に向かってそう言った。俺も、


  「そうだな。本当…疲れた」


  と、答えた。


  「…」


  「…」


  お互い言葉が続かない。


  「それなら、早くやすみなさい」


  リアンさんが優しく言ってくれた。


  「そうだね。それじゃ、アンジおやすみ。リアンさんも、おやすみなさい」


  トウジはそう言って部屋の中へ入っていった。


 俺も、部屋の扉を開け、


  「じゃあ、俺も。おやすみなさい、リアンさん」


  「おやすみ、アンジ」


  と、リアンさんと挨拶を交わし、部屋の扉を閉めた。


 もちろん、昼間から部屋を空けていたため、明かりなどついていない。


 しかも雨戸も閉めているので暗闇だ。


 しかし、ずっと暮らしている部屋なので、大体感覚で分かる。


 俺は、ベットがあるであろう方へ進む。


 すると、それらしい物がすねに当たる。


  俺はそのまま倒れるようにベットに転がった。


  「明日か…」


  そうつぶやいた後、いつの間にか俺は深い眠りについていた……





  俺達が寝静まった事を確認した後、リアンは園長達のいる園長の書斎へむかった。


 そして、扉の前まで来ると二つノックし、中へ入った。


 部屋の中では園長と二人の男性がテーブルを挟んみ、無言のまま向かい合って椅子に座っていた。


  「あの子達は?」


 と、園長がリアンに尋ねる。


  「ええ。もう寝てしまいました。よほど疲れていたのでしょう」


  「そうか…戻ってきたそうそうすまないが、リアン。彼らに何か飲み物を持って来てくれないか?」


  「ええ。構いませんよ。でも、この方達は…」


  リアンはそう言いながらちらりと男達の方を見た。


  「ああ、彼らか。彼らは私の古い知人だ。しかもアンジ達の危ない所を助けてくれたらしい」


  そう園長に紹介された二人は、会釈をしながらリョカとハクと名乗った。


  リアンも会釈を返し、


  「そうですか。あの子達を守って頂きありがとうございました。それでは、何かお飲み物をお持ち致しますね」


  と、言うとリョカが、


  「出来れば熱いお茶をお願いします。…酔いを醒ましたいもんで」


  と、苦笑いしながら言った。


  つられてリアンも笑いながら、


  「わかりました。熱いお茶ですね」


  そう言って部屋を出ていった。


  「大事な話しだから、な、ジンさん」


  打って変わり真面目な顔で、リョカが言った。


  「…そうだな。…しかし、どこから話せばよいのやら」


  園長がそう言うと、


  「それを決めるのは、俺達じゃあない。話すのもあなたなら、決めるのもジンさん、あなただ」


  と、リョカが答えた。


  「そうか…」


  園長は一つ頷いた。

 

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