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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第二章
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第33話 帰還

  「俺が、シキ使いの子…俺が…」


  「アンジ!アンジ!」


  呆然とする俺の肩を揺らしながらトウジが声を掛けて来た。


  「どうしたの?大丈夫?」


  その顔は心配そうだ。


  「あ、うん。大丈夫」


  「そっか。よかった。…でも、すごい話しだね。アンジがシキの後継者だなんてさ」


  心配していた表情から一転、今度は嬉しそうな表情をトウジは浮かべている。


  その顔を見て、俺は先程の悲劇を思い出した。


  俺は…


  「ハクさん。本当に俺が、後継者なんですか?」


  「まあ、ほぼ間違いないと思うよ」


  「俺に…そんな力があるんですか?」


  「論より証拠。その手の中にあるじゃない」


  「でも、俺………」


  「どうしたのさ?」


  俺は…トウジを…


  「さっきの事は気にするな」


  そう言ったのは、リョカさんだった。


  「でも…俺に力があるのなら」


  「それは、今分かった事だろ?さっきは状況が違う。お前は何も知らない。ただの無力な子供だ。それに、たとえ力があってもその使い方を知らなければ、無いのと同じだ。あの状況でお前に出来る事は何も無かったんだ。…もう終わった事だ。お前にとって大事なのはこれからどうするかだ。同じ事を繰り返したくないだろ?」


  「…はい」


  「よし、じゃあ、とりあえず、早くお前達の住んでる所に戻ろう」


  と、リョカさんが言うと、ハクさんが、リョカさんの顔を見ながら、


  「驚いた…」


  「何が?」


  「素面のリョカがあんなまともなことを言えるなんて…いや、まだ少し残っているのかな?」


  「おい、ハク…あんまり人を馬鹿にするなよ。俺だってたまには…」


  「で?トウジ、園まで後、どれくらいかな?」


  「えっ?あ、後少しです。そこの角を曲がったら…見えました。あれです」


  トウジが指差した先には、俺達が暮らしている園があった。


  「いや、俺の話しを聞けって」


  ハクさんはリョカさんの言葉が聞こえていないふりをして、


  「そういえば、聞くのを忘れていたけど、君達の園長さんの名前はなんていうのかな?」


「おい、ハク」


「アンジ、園長さんの名前は?」


  「あ、園長の名前ですか?ジンですけど…」


  リョカさんの事を気にしつつ、俺はハクさんの問いに答えた。


  「ジン?ジンだと?」


  そう言ったのはリョカさんだった。


  「はい。そうですが」


  リョカさんが何に驚いているのか分からなかったが、俺はそう返事をした。


  「ジン…か。まさかな、いや、しかし…ハク?」


  「まあ、同じ名前の人なんて、沢山いるからね」


  「…だよな」


  「でも、この子達の暮らしている、あそこの名前…リョカもちゃんと聞いたでしょ?」


  「ああ、聞いた」


  「僕も、あの時は別に何とも思わなかったけどね。園長がジンで、園の名前が『ガクエン』…そして、この子がいる。偶然にしては出来過ぎの様な気がするね」


  「だな、まあそれも会えば分かる事…か」


  一体、この二人は何について話しをしているのだろう。


 俺が園長の名前は『ジン』だと伝えただけなのに。


  気にせず、俺とトウジは歩を進め、


  「リョカさん、ハクさん、着きました」


  俺達は門の前で立ち止まり、二人に告げた。


 門の向こうには広い中庭があり、その奥に横長で二階建ての建物がある。


 あれが俺達の暮らしているところだ。


 窓から部屋の中はうかがえない。


 当然だ。


 外の様子が見えないように全て雨戸が閉められているのだから。


  「ここが、君達の家…なんだね」


  「はい。そうです」


  「結構、大きいな。一体何人で生活してるんだ?」


  「えっと、園長と僕達みたいな子供が十五人いるんで、皆で十六人ですね」


  「そうか」


  と、リョカさんは建物を見ながら言った。


  「中に入れてもらってもいいかい?」


  「あ、もちろんです。どうぞ」


  と、俺はハクさんに答え、閉ざされていた門を開けた。


  『やっと、帰ってきた…』



  そう胸の内で思いながら。

 

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