第25話 アザの真実へ…
アンジ達と話しを終えたリョカは酔いもすっかりさめていた。
いや、さまされたと言った方がいいかもしれなかった。
自分達の部屋がある建物の前に立ち止まると、自分が飛び降りて来た二階の窓を見上げ、
「おい、ハク!ハク!起きてるだろ?」
と、中にいる彼に向かって声を掛けた。
少し間があった後、二階の窓から、
「はいはい。どうしたの?」
と、ハクが眠たそうな声をしながら顔を出した。
「酔いはさめたの?リョカ」
「ああ、もちろんだ」
リョカはハクに向かって頷いた。
「よかったね」
「それに…」
「それに何?」
「収穫ありだ」
「どういうこと?」
「あの子の事だ」
そう言いながらリョカはアンジの方を指さした。
「…何がわかったのさ」
「例のアザの事だが、本人は何も知らなかった…」
「知らなかったって……はあっ?」
ハクは呆気に取られた顔をした。
「じゃ、何も分かって無いじゃないか!」
ハクはもっともな言い分でリョカを責めた。
「いや、最後まで聞けって。あの子達は自分の親が誰なのか知らないらしい。だからアザについての由縁を本人は知らない。だが、あの子はいつあれが出てくるのかは知っていた。そしてそれを皆に隠していた」
「…なんで?」
そこまで静かに聞いていたハクが口を挟む。
「そこなんだ。あの子達に親はいない。しかし、代わりがいるらしい」
「誰なの?」
「あの子達が住んでいる所の園長だそうだ。その園長があの子に口止めをしたみたいなんだ」
「…ってことは」
「ああ、多分、その園長は何かを知っている。もしかしたら、あの子の親が誰なのかもな」
「そういうことか…確かに収穫ありだね」
「な、そうだろ?」
「じゃあ?」
「ああ、今から行って確かめる」
「だよね。…分かった。じゃ、支度するからちょっと待ってて」
と、言い残し、ハクは部屋の中へ消えて行った。
そのやり取りを少し離れた所から見ている者達がいた。
タイラ隊長と、隊員の二人だ。
辺りが静かなこともあり、彼らにもリョカとハクの会話が、はっきりと聞き取れた。
「一体何の話しだったんでしょうか?」
「あのアンジとかいう子の事を話しているみたいでしたね?アザ?とか、なんとか」
「ああ、そうだな。俺にもそう聞こえたが、なんの事だかな」
会話は聞こえたものの、彼らにはその会話の内容が理解出来なかった。
『アンジの親?アザ?園長?…』考えてもタイラには答えが出せなかった。
「…まぁ、今の俺達には関係無いか…。二人共、あの二人の会話の内容、今は気にするな」
「わかりました。隊長がそう言われるなら」
「そうですね、今は他にするべき事がありますからね」
タイラの出した命令に、カイとリュウが同意した丁度その時、
「隊長~~」
と、遠くからタイラを呼ぶ、声が聞こえてきた。
それは聞き覚えのある声だった。
三人は顔を見合わせた後、声が聞こえてきた方へ振り向いた。
そこには先程別れ、別行動をとっていたイスミの姿があった。しかし、そこにシュウの姿はなかった。
しかもイスミは何者かと争った様に傷ついていた。
タイラは嫌な予感がした。
「どうしたイスミ。何があったんだ!」
自分達の元まで駆け寄って来たイスミに向かって問い掛けた。
「すいません隊長…ヒトツキに…やられました」
「あの男達と、シュウはどうした?」
「はい。彼らは無事に家まで送り届けたのですが、その帰りに…ヒトツキと遭遇してしまって…かろうじて私はなんとかここへ辿り着けたのですが、替わりにシュウが…」
イスミは悔しそうにタイラに答えた。
「そうか…とにかくお前だけでも無事で良かった」
「隊長。やみくもにヒトツキを捜すより、まずはそいつを倒しに行きましょう」
「…そうだな」
カイの発言にタイラは納得した。
「しかし、隊長。あの子達はどうします?」
リュウはアンジ達を指さした。
「…あの子達は、………彼らに任せよう」
そう言ってタイラが指さした先に居たのは、リョカだった。




