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RGB~時計の針が止まる日は~  作者: 夏のカカシ
第八章
153/211

第153話 個別探索

 前方から右、そして左…


「身の回りはあかるくなったが、…先が見えないな。外からの光は、入って来てはいるみたいだが…おい、あんた」


 動く前に、俺は再び腰かけている男に声を掛けた。


「はい、何でしょう」


『あんた』呼ばわりされたにも関わらず、その男は、気にしていない様に返事を返してきた。


「ここは、一体どれ位の部屋数があるんだ?先が見えないが?」


 男はその問いに、首を傾げながら、


「それは、まあ。建屋は建屋。屋内は屋内。外観も、屋内も個人の好みで部屋数は変わりますからね。…ドリュウ様にはこれ位の広さが必要だったのでしょう。ああ、部屋数でしたね…………、少々お待ちを、過去に部屋の数を聞かれた事が無かったもので………、とりあえず、一階に60部屋、それから……、二階が……、38部屋ですね。それと、地下に5部屋…ですね。ですので、合計すると…」


「103部屋」


 即座にハクが回答すると、


「ですかね。あっ、部屋の入口にも扉はありませんよ。念のため。それと、階段はここを真っ直ぐ進まれた所にありますので、ご利用下さい。他にも何か?」


 俺とハクは目を合わせ、


「いや、もう、大丈夫だ。ありがとう」


「そうですか。また、何かありましたら…」


「そうですね。また、よろしくお願いします」


 ハクは頭を下げ、礼を言う。


「一先ず…、階段の所まで進もうか」


 ハクは、みんなにそう声を掛けた。


 誰も反対することなく、それに従い歩き出す。


 しかし、いつもと違い、アンジ達は一言も声を出さない。


 あいつ等に限った話ではなく、俺も、隣を歩くハクも声を発しなかった。


 暫く歩くと、それと分かる階段が見えた。


 全員が横に並んでも登れる幅の階段だ。


 それが、上下に伸びていた。


「あの…、今からどう動くんですか?」


 アンジが不安そうな声でそう問い掛けて来た。


 不安気な理由は、もちろんみんな分かっていた。


「さて、どうするかな。…おつ、そうだ肝試しでもするか?大分古い建物みたいだしな。相当……」


「真面目に答えて下さい!」


 と、珍しくトウジが声を荒げた。


 そして、


「どうするんですか?こんなに広いなんて…。どうやって、夕方までに手掛かりを探すんですか!約束された時間まで、もう…もう………」


 トウジの目に涙が浮かんでくる。


 その様子を見て、


「いや、おい、泣くなって。悪かった、ちょっと和ませようと思って言っただけだ。だから、なっ?」


 慌ててそう言ったのだが、ハクからも、


「それ、こんな時に言うような冗談じゃないでしょ、リョカ……」


 呆れ気味に言われ、


「そうだな、面目ない」


 と謝り、続けて、


「でもな、一人でって言うのは、冗談のつもりじゃないぜ。ここから先は、手分けして探した方が良いと思う。だってよ、俺達の中で、この建物の中に書いてある文字……読めるのは、ハクと、トウジ。二人しかいない。ってことは、固まって探すよりは別れた方が効率がいいだろ?」


 そう言いながら、みんなの顔を見ると、一様に頷いていた。


「…だよな。でも、だからって二手にしか別れないっていうのも、もったいない。もしかしたら、文字以外での手掛かりがあるかもしれないからな」


「……なるほどね。だから、二手よりもっと別れて個別で探した方が良いって事だね?」


 後を追ってハクがそう続けた事に対し、


「まあ、そういうことだ。言い方は悪かったが、それでいいか、お前達?」


 アンジ達に向かって尋ねると、全員頷いていた。


「でも、リョカさん。手分けして探したとして、何か見つけた時………は、どうしたらいいですか?」


 もっともな事をアンジが尋ねてきた。


 が、さすがにそこまでは考えていなかった為、答えに困っていると、カイナが、


「じゃあ、また入り口まで戻りましょうよ。あの人なら何か連絡手段知ってるか、持ってるかもしれないから、ねっ?」


「そうか……その手があったな。……仕方ない。一旦入り口まで戻ろう。そして、そこから先は手分けして探索だ」


「そうだね。それが得策かもしれないね。じゃあ、戻ろっか」


 ハクはそう言うと、皆より先に踵を返し、歩き始める。


 俺達もそれに続き歩き出した。


 そうする間にも、残された時間は刻々と過ぎて行く……………


 入り口へ戻るなり、男に主旨を伝えると、「それならば」と、照明とはまた別に六人分の玉を用意してくれた。


 なんでも、話したい時にそれを握って喋れば、他の人が持つ『それ』から声が聞こえてくるという優れものらしい。


 会話出来ることを確認し、俺達は六手に別れて、行動を開始した。


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