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大規模リサイクルセンター

参加者は完全循環型システムは出来るんだろうと思えるようになったみたいです。

そして、その大規模リサイクルセンターはどんなことをするんだろう?


それを実現するためには多くの企業の存続がかかっているようです。

お金の要る社会では何が障害で実現が出来ないのか?


大規模リサイクルセンターの存在は地球との共存に不可欠になるかもしれませんね。

幸夫さんの提案に期待が膨らみます。


稔はお金のない世界がますます好きになってきた。

罪悪感のない生き方にも興味を持ち始めた。


稔は質問をしてみた

「幸夫さん、その大規模リサイクルセンターってどんな所ですか?」


幸夫は

お金の要る社会で大規模リサイクルセンターを作るとしたら、

こんな大規模リサイクルセンターを作りたいと

自分のブログで提案していた内容をコピペした。

「こんな内容で提案しています」と。


「大規模リサイクルセンターはすべての要らない物を回収する所です。


そこでは

・回収・持ちこみ全て無料

・すぐ使える物は買取、その他は無料

・修理できる物は修理して各商店にて販売

・修理できない物は部品としてメーカーに安く卸す

・その他は溶解して原料として再利用

・再利用出来ない物は微生物で無害化して埋める

・外食産業や家庭生ゴミ下水処理のヘドロについては

 すべて善玉微生物で発酵処理して肥料として再利用」


★大規模リサイクルセンターの建設理由は?

・雇用の場を作り失業者を無くすことです。

・資源を無駄なく有効に使うことです。

・企業間の情報交換を促進することで発明率を上げることです。

・必要な生産物や生産の必要量などを把握しやすい環境を作ることです。」


「以上が概略ですが、お金のない世界になれば

 物の流通がスムースになると思いますよ」


「お金の要る世界では難しいと言われたのは企業の事情があるんですか?」

栄治が質問した。


「そうなんです、お金の要る世界では競争の世界です。

 競争に負けると売り上げが落ちて利益を上げることが出来なくなり

 給料も払えない倒産状態です」


「競争をやめてみんなが成功する社会にすればいいのに」

「それを嫌う人たちが多いんです」

「どうしてですか?」

「共産主義とか社会主義とか言われて

『過去の歴史を見ればすべて失敗したじゃないか』ってね」


「資本主義社会も限界に来ているんじゃないでか?」

「もう一つ個人主義と全体主義の考え方があるんですよ」

「それはどんな考え方ですか?」

「一人ひとりの人権を尊重することと、社会全体を大切にする考え方なんです」


「そういえば資本主義社会が民主主義のような気がします」

「人の考え方は人それぞれですからね」

「お金のない世界では解決できるんですか?」

「はい、出来ますよ」

「言い切りましたけど、どうしてですか?」


「それはね、お金のない世界では個人と社会全体と両方大切にしないと

 成り立たないんです」

「そうなんですか、いいですね」

「競争をやめるといろんな良いことがあるんですよ」


競争をやめると良いことが起きるとは?

競争は人や社会の成長に必要なものだと信じていた。

世の中から競争が無くなるなんて考えられない。

競争の種類が変わるのだろうか?


競争することで人間は成長する。

誰もがそれを信じているから競争は必要だと思っている。

栄治は質問をしてみた


「競争をやめたら人間は怠惰になり社会は衰退に向かうんじゃないですか?」

 「たしかに、より良くなるためには競争が便利ですね。

 大規模リサイクルセンターの仕組みを考えていたとき思ったんですよ」

「仕組みと競争になにか関係があるんですか?」

「そうなんです」


幸夫は続けてコメントした。

「大規模リサイクルセンターではすべての製品が持ち込まれます、

 センターでは再利用を基本に考えますから製品の規格が同じで

 あることが便利なんです。

 早い話が企業間で部品が融通できれば『より良い』ことなんです」


「あ!思い出した、ビデオテープがベータとVHSがありましたよね、

 あれも二台のデッキを買うのがもったいないって父親も言ってましたよ」

 と栄治が思い出したようにコメントした。


「メーカーによっていろんな部品を作るから資源がもったいないしね、

 車の部品も電気製品の部品も企業間で同じ規格のものを作れば良いのにって

 思ったんです」


「それで競争はやめたほうがいいって思ったんですか?」

 稔は少しわかったような気がした。


幸夫は続けて

「そうなんです、さっき栄治さんが怠惰とか衰退とか書かれていたけど、

 僕はこう思うんです。

 競争は共走と協走に変わり、共に走る共走と協力しながら走る協走が

 成長を促せてくれると」


「おもしろい発想ですね、競争と言う言葉が無くなるんですか?」

「いえ、違った競争があるんですよ」

「え?どんな」

栄治も稔も思いつかなかった。


「稔君は学校でテストの成績とか運動会の徒競走の順位が気になる

 ことがあるでしょ?」

「はい、成績は進学に影響あるし、徒競走でビリになると恥ずかしいです」

「それは他人との競争なんだよね」

「はい、そうです」


「僕は他人との競争より自分との競争に興味を持ったんです」

「どういうことですか?」

「栄治さんが言ったように競争が無くなると怠惰や衰退とか言ったよね、

 ところで怠惰とか衰退の意味わかりますか?」


「はい、さっきインターネットで検索してわかりまた」

「便利よね~♪」

 と久しぶりに素子がコメントを入れた。


「素子さんありがとう♪、

 自分との競争についてだけどね、昨日のテストの成績より今日のテストの

 成績が良かったら嬉しいよね、しかも先生や友達から褒めてもらえたら」

「はい、嬉しいです」

「徒競走も友達より早く走る努力より今までより一秒早く走れたほうが

 楽しいという教育に変えたほうが良いと思ったんです」


栄治が思いついたようにコメントを入れた。

「大規模リサイクルセンターの役割を考えたら企業のあり方や人間の生き方が

 変わるってことですか?」

「そうなんです、お金のない世界だったら人も社会も成長するんじゃないかって

 思ったんです。

 それと、大規模リサイクルセンターは地震や台風などの自然災害に対しても

 即効果があるんです。

 すぐに回収できること、すぐに使えるものを提供できることですね」


稔はワクワクしながら

「そんな大規模リサイクルセンターが出来たら見学したいです」

とコメントした。


そうすると栄治が

「いっそのこと義務教育の一環で体験学習したらどうでしょう?」

と意見を述べた。


幸夫は

「僕もそれを考えましたよ、体験することで資源の大切さもゴミ分別の必要性も

 自然と理解するようになりますからね」


お金の要る世界では「得るための競争」が必要でした。

そのための奪い合いや騙し合いが心を痛めていたんです。


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