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物は何のために作るの?

資本主義社会は消費が多いほどお金が流通し

生産が多いほど会社員の収入が増えて

国に入る税金が多くなります。

だから

大量生産、大量消費が理想的な状態です。


国が低所得者層に臨時福祉給付金という

お金を支給するのも消費を促すためですね。


稔君の疑問は

「物は何のために作られているんだろう?」

自分の未来を考えるきっかけが借金だったけど

学校では教えてくれない話題が次々と。


働くという意味が変わるの?

稔は新しく参加した栄治のコメントに興味があって聞いてみた。


「栄治さんはお金を稼ぐことに疲れたって言われましたけど、

 どう言うことですか?」


「僕は大学を卒業して大手の会社に就職したんだけどね、

 売り上げを上げるために働かされているって感じで、

 なんだか自分らしくない仕事をしている違和感を感じたんだよ」


そこで主婦の素子が

「そうよね、会社に入れば会社が儲かるための労働が義務付けられるからね、

 この社会の当たり前のことなんですね」


「そうなんですよ、僕の先輩なんか売り上げが少ないからって、

 あたかも仕事をしていないかのようにイヤミを言われて転職を考えているんです」


「こんなに景気が悪いと転職するにも希望の仕事は見つかりにくいわね」


稔は素子に聞いてみた。

「お金のない社会だったらお金を稼がなくても良いんでしょ?」

「そうよ」

「だったら、働かなくても良いってことですか?」

「働きたくない人は働かなくてもいいけど、働きたくなる社会になるのよ」

「どういうことですか?」


またまた稔は疑問が増えてきました。

働いても働かなくても良いなんて。


「稔君はお家の中で働いたことがあるでしょ?」

「え?子供は働かないでしょう?」

「誤解しないでね、稔君はお家の中でお父さんやお母さんのお手伝いを

 するでしょ?」

「はい、それなら毎日やってますよ」

「自分の周りの人の役に立つことを働くって言うんですよ」


稔は働くことはお金を稼ぐことだと思っていた。

お金を稼ぐためには仕事を探して働くことだと思っていたのだ。


「あの~、僕のことで言われたらよく分かったんですけど、

栄治さんのように大人の人はどうなるんですか?」

「以前にも言ったけど、世界が一つの家族として考えれば

 分かりやすいかも知れないわね」

「あ、そうでした」


稔の頭の中では理解が半分不安が半分あるようです。


「あの~、さっき働かなくてもいいって言われましたよね、

 働かない人が多かったら困るんじゃないかって思うんですけど」

「ぜんぜん困らないわよ」

「どうしてですか?」

「生活に必要なものを生産して生活に必要なサービスがあればいいんでしょ?」


稔はわかったようなわからないような気分です。


「あの~もうチョットわかりやすいようにお願いします」

「では、電気・ガス・水道・着る服や野菜や魚などの食料、

 車や電気製品、学校や病院、遊園地公園など

 いつでも使うことができれば良いわよね」

「はい、それならわかります」

「いま、稔君は生活するのに困ってることはあるの?」

「いえ、無いです」


この話題は何を意味するのか?

生産って何だろう?

売り上げって何だろう?

稔はもうチョット聞いてみたくなった。


「生産って必要とする人がいるから作るんでしょ?」

と素子に質問を書いてみた。

「そうよ」

「日本では物があふれていっぱい余ってるって聞いたことがあるよ」

「でもね工場は作り続けないとお金が入ってこないのよ」

「余ってるのに作り続けるの?」

「それはね外国に輸出して売ってるの」

「そうなんだ」


稔は納得したけど世界が一つの家族と考えれば疑問が起きた。


「あの~もう一つ質問して良いですか?」

「どうぞ」

「社会勉強で輸出する車の船積みを見に行ったことがあるんです、

 すごいなーって思ったけどこれだけたくさん運ぶのなら現地で作れば

 良いのにって思ったんです」

「自動車会社が世界に一つしかないのならすべて現地生産するでしょうね」


そこへ栄治がコメントをはさんだ

「会社がいっぱいあって競争するから仕方がないんだと思うよ」


稔は栄治に聞いたみた

「栄治さんは売り上げを上げるために働いているんでしょ?」

「そうだよ」

「売り上げを上げないとどうなるんですか?」

「給料泥棒と言われたくないから辞めるだろうね」

「給料泥棒ですか?」

「会社で働くためには会社が儲かるために働かなきゃいけなんだよ、

 会社が儲かっていないのに給料だけもらうのはつらいよね」


稔はお金の要る社会での大人の大変さが分かったような気がした。

稔はお金の要る資本主義社会という言葉を検索してみた。


<資本主義社会は、

まず第一に商品生産者の社会である。

各人は生産手段を私的に所有し、

私的労働の産物である商品を相互に

等価で交換する。>


「僕調べてみたんです、

 お金の要る日本では資本主義社会って言うんですよね、

 やっぱり交換って書いてありました」

「そう?よく調べたわね」

「物々交換がなくなればお金もなくなるって言ったよね?」

「そうよ」

「じゃあ、働くという意味が変わるの?」

「そうね、変わるわねお金を稼がなくても良いんだからね」

「僕、学校でボランティアというのに参加したことがあるんです、

 ゴミ拾いとか老人ホームでの演奏会とか、それを思い出しました」

「そう、えらいわね、ご褒美はお金ではなく誰かが喜んでくれることでしょうね」

「はい、それを思い出したんです」


稔はお金のない世界はボランティアの世界だと思った。

でも、

「ボランティアだけの社会なんて出来るのか?」なぞは深まる。


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