国連本部で演説(3)
なんとかハプニングを乗り越えたが代表者たちは納得してくれるのか、不安になりながらも稔君は頑張って読み続けていきます。
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生活のために人々の交流は大切ですが
文化交流も大きな力を持っています。
文化交流は
互いが「自分を知ってもらう」ことです。
世界中に友人ができれば
子どもたちの笑顔を見たら・・・
戦争なんて考えられません。
音楽や芸術をはじめ生活文化など互いに紹介しあったり
専門職の技術は多くの人に知って欲しいです。
私は子どもたちの声が大好きです。
人種を超えて歌う歌声は心が豊かになります。
その一つが
「What a Wonderful World」です。
(なんと素晴らしい世界だろう)
子どもたちが仲良くなれば大人も同じ。
「いつまでも平和でいたい」と思います。
軍隊も核もない世界は努力しなくても実現します。
世界は楽しいと思える環境を作ることです。
テレビ番組もユーチューブも大きな力です。
新しいもう一つの世界を創りましょう。
世界中でそう思うだけで実現します。
お金のない平和な世界です。
よろしくお願いします。
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最後にみなさんにもう一度
イメージしていただきたいことがあります。
一つの時代に二つの世界を作ることです。
今のお金の要る世界とお金を使わないもう一つの世界です。
戦争も貧困も飢餓も核もあるこの世界に、
戦争も貧困も飢餓も核もない世界を作ります。
同じ時代に二つの世界を作ろうと言う訳です。
もう一つの世界は世界中が手をつなぎます。
世界中の情報をまとめるには国連が必要です。
ここにおられるみなさんの力が必要です。
僕は12年前
日本で生まれて日本で育ちました。
日本の食事「和食」がユネスコ無形文化遺産になりました。
僕は日本の心「和をもって貴しとなす」が大好きです。
意味は
「何ごとをやるにも、みんなが仲良くやり、
いさかいを起こさないのが良い」と言うことです。
今までは
軍事力で世界平和を訴えていますが、
これからは
「和をもって尊しとなす」を実践して
この言葉がユネスコ無形文化遺産になるように頑張りたいです。
二つの世界は二階建ての家のように
お金の要る社会とお金のない社会が同居します。
お手本の社会を創ると言うことです。
お金のない社会が軌道に乗れば
お金の要る社会は崩壊します。
それで
本当の世界平和が実現するんです。
よろしくお願いします。
大切な時間をいただいてありがとうございました。
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稔は提案書を読み終わって幸夫を紹介した。
「僕の提案のためにこの原稿を作ってくれた幸夫さんを紹介します」と。
幸夫は壇上に立ってゆっくりお辞儀をして話し始めた。
「内容に驚いたところがあると思います。
稔君も僕たち仲間もお金の存在を真剣に考えてきました。
世界平和をイメージしたときお金のない世界がみんなの頭の中に
浮かんだのです。
国際支援団の活動には生活を支えるためにお金が要りますが、
それは世界中の軍事費の一部を投入していただきたいと思っています」
それを聞いた代表者たちは全員立ち上がって拍手をした。
軍隊はすぐには無くせないが軍事費の一部を出し合うだけで
世界平和が実現するのなら惜しみなく支援する決意を持ったのである。
二人はそろって挨拶をして会場から出て行った。
出てもしばらく
スタンディングオベーションで送り、あちらこちらで歓声が上がっていた。
演説は大成功で終了したのだ。




