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学校で未来を学ぶ

ついに稔君が先生に打ち明けましたよ。

今まで小学校では世界平和について学んだことはあるけど具体的に実現することと、お金のない世界の話題まで。


学校でこういう授業はありえるのか?

稔君の本気はどこまで通用するのか?


稔君はゲームで友達とつながることはしません。

自分の未来を楽しくしたいと願っているようです。

そのためには世界平和とお金のない世界の実現が欠かせないことを確信しているんですね。


ゲームばかりしている友達に未来は楽しいことを教えたいという気持ちも湧いているようです。


「さて、幸夫さんが書いてくださった提案書だけど

 内容について変更とか書き足しとかありますか?」

素子が全員の意見を聞いてみた。


「細かいことまで書き足したら文章が長くなって聞く人の感動が

 薄れてしまうと思いますよ」


「私もそう思います。

 細かい内容は『やる』と決まってから提案したら良いと思いますよ」


「そうですね、

とりあえずこの文章で提案書にしたいと思います」


みんなの意見が一致したところで次の話題に進むことにした。



「さて、すぐには国連で演説することは叶いませんがこの計画を多くの人に

 知ってもらうことが必要です」


「国連で演説することを知ってもらうんですか?」


「それも大切ですが、もっと大切なのは世界平和の実現が可能だと

 思ってもらうことね」



「世界平和になれば自衛隊の活動も要らないし、

難民の受け入れも悩まなくても良いし、

領土問題も飢餓や貧困も無くなりますもんね」


「そうですね、

世界平和が実現する方法を話し合えば提案書の内容が理解できますよね」


「ところで稔君は学校で平和について話し合ったことがある?」


「はい、社会の時間で勉強しました」


「どんな勉強したんだろう?」


「近ごろは自衛隊の必要性なんかも教えるんじゃないの?」


「政府が言う積極的平和主義は自衛隊の必要性と言うくらいだからね」


「積極的に平和を訴えるのなら軍隊を廃止できる環境を作れば良いのにね」


それぞれ意見が出たところで稔がコメントした。


「学校で提案してみようと思うんですけど」


「何をですか?」


「幸夫さんが作ってくれた提案書を授業で取り上げてくださいって」


「良いかもしれないわね」


「僕が国連で発表するって言っても良いですか?」


「先生は本気にしないだろうけど提案書の内容をみんなで考えてみるのは

 良いと思うよ」


「じゃあ先生に提案書を見てもらってお願いしてみます」




稔は提案書をプリントして翌日担任の先生に見てもらうことにした。


先生は一度読んでみて

「わかった、職員会議で提案してみるよ」

と快諾してくれた。


数日後稔は職員室に呼ばれた。


「稔君、会議で話し合ったんだけどね、小学生レベルで考えることなのか

 疑問に思う先生もいるんだよ」


「僕はインターネットで大人の人たちと一緒に考えて国連で僕が発表しようと

 決めたんです」


「え!そうなの?」


「はい!」


「それじゃあ、

 もう一度会議で話し合ってみるよ、稔君はもう決めているんだね」


「はい」


「もうしばらく待ってね」


「はい、お願いします」


稔は自分が本気であることを先生に伝えた。

先生も稔の想いを大切にしようともう一度会議で取り上げる気持ちになった。


小学校の職員会議では小学生が国連で演説することなどありえないと

一笑していたが特別活動としてなら学ぶ価値はあると判断しました。


そして一週間後稔は職員室へ呼ばれた。


「稔君、やっと許可が下りたよ。特別活動の中で勉強して良いって。

 良かったな。近いうちみんなで勉強しような」


「はい!ありがとうございます」


帰宅した稔はさっそくインターネットを開いてコメントを書いておいた。

「皆さん学校で提案書を取り上げて勉強することになりました。特別活動だけど」


しばらくして素子が

「そう、良かったわね。で、先生は何か言わなかった?」


「僕が国連で演説しますって言ったら笑ってました」


「でしょうね(笑)みんなが考えてもらえれば大人も考えてくれると思うわ」


「そうなると良いです」


「ところで、特別活動って何なの?」


「教科書のない勉強です」


「どんな勉強するの?」


「道徳とか社会の一員としての体験とかです」


「へ~そうなの?」

素子は古い教育を受けていたのでわからなかった。


「それなら、提案書は良い教科書になるわね(笑)」



しばらくして参加者全員が稔の報告に

喜びのコメントを入れた。


そして

「良いことが起きそうなので皆さんも提案書の原稿を拡散しましょうよ」

と美佐枝が意見を書いた。


「そうですね、それと同時に各政党やテレビ局の番組などに

 取り上げてもらえるように投稿しませんか?」


「良いですね、ぜひやってみましょうよ」


「マスコミ関係の人が協力してくれると早く広がると思いますね」

幸夫も栄治も前向きな意見を書いた。


「それではみんなで提案書の拡散と稔君の学校での勉強会を中心に

 活動してみましょう」


「賛成です」


「それでは時々状況報告会をやることにして散会します」


「状況報告会は定期的にするんですか?」


「いえ、報告したいと思った時に書いてくださればOKですよ。

 お互い忙しいでしょうから」



「そうですね。見るだけなら毎日でも出来ます」


「では、そういうことで」



稔は学校の特別活動でどのように意見を言ってくれるのか気になっていた。

インターネットでは反対意見はほとんどなく楽しく意見交換が出来たからである。



そしてその日が訪れた。


「稔君から提案書が出されました。それは『世界平和とお金のない世界』です」


「え~!」クラス全員が叫んだ。


「みんなはインターネットをやってますか?」


「はい」


「稔君はインターネットで大人の人たちと世界平和について話し合ったそうです。

 そして

 世界の人たちに世界平和を実現しようと提案書を作りました。

 その提案書がこれです。

 コピーしたのでみんなで一枚ずつ取ってください」


さあ授業が始まりました。



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