第7話
イーリス達がいる王国に迫る怪獣は、エーヴィヒフリーデン 王国を破壊しようとするが、防護壁が化物の進撃を阻もうと立ち塞がった。
怪獣は緑のドームが自分の与えられた命令の障害と認識し防護壁の破壊を最優先とする。
怪獣が巨大な腕で防護壁を殴りつけた。しかし防護壁は怪獣の一撃を受け止める。
更に怪獣が殴りつける。怪獣の腕が防護壁を殴る度にヒビが入り、怪獣の一撃が決して軽いものではない事を証明していたが、防護壁はまだ健在でしっかりと王国を護っていた。
イーリスは防護壁を破壊しようとする怪獣がこちらを見ているような気がした。
その目は貴様ら全員踏み潰してやる。とイーリスにはそう感じていた。
炎も一向に現れず破壊を欲しいままにする怪獣を見てツィトローネは、思わずイーリスに言う。
「姉様。やはり避難しましょう」
「大丈夫です。炎様が来て下さいました!」
「えっ?」
ツィトローネがイーリスの見ている方向を見た時、鋼の巨人が怪獣に向かって走ってきた。
炎は怪獣を見つけると、バーニンガーをそちらに向かわせようとする。
「あれが怪獣か?」
「怪獣?何それあいつの名前?」
「ああ、巨大ロボの敵は怪獣って決まってんだろ?」
「あっそ、まぁお好きにどうぞ。早くしないと王国が破壊されちゃうわよ」
しかしバーニンガーは怪獣に近づくが何故か攻撃しない。
「どうして攻撃しないのよ?」
「どうやって攻撃するんだよ?」
炎の頭の中にはバーニンガーの操作法や様々な情報が流れ込んでいるのだが、情報が多過ぎて炎には処理しきれなくなっていた。
「炎、取り敢えず今はバーニンガーを歩かせる事だけを考えなさい。他の事はこっちでフォローするから」
炎は頭の中をバーニンガーの歩く事だけに集中していく。
「よし分かった。いくぞバーニンガー!」
バーニンガーが歩き出し、大地をその巨大な足で踏み締める。
バーニンガーの中で炎がとっている行動は一番簡単な事、歩くことだ。
神経接続された炎とバーニンガーの動きはシンクロされている。 つまりバーニンガーが見ているものは炎にも見えていて、炎が歩けばバーニンガーも歩く。炎の足元にあるランニングマシンのベルトコンベアが炎の足の動きを伝えていた。
歩くのに慣れてきた炎は走り出す。炎が走る事でベルトコンベアが炎の動きを伝えバーニンガーも走り出す。
八〇メートルの巨体が歩くだけでもかなりの速さだが、走る事で更に勢いがつく。
怪獣がどんどん近くなってくると詳細な姿が見えてくる。
全身はくすんだ灰色で腕も足もかなりゴツい。爪もどんな物でも切り裂き引き裂いてしまいそうだ。
凶悪な一撃を叩き込んできそうな尻尾と頭には鉈のようなデカイ角が生えている。
「あんなのに勝てるのかよ〜」
炎は目の前一杯に広がる怪獣を見て涙目だ。
「男のくせにガタガタうるさい! ほらサッサと突っ込めー!」
防護壁を破壊しようとした怪獣の動きが一瞬止まってバーニンガーの方を向く。
そして怪獣の青い目とバーニンガーの緑の眼が合った。
「ウオォォォ!そこから離れろ怪獣!」
バーニンガーが怪獣に体当たりをして防護壁から引き離そうとする。
「まずは王国から怪獣を引き離すのよ。炎」
「分かってるよ、ナーシア」
怪獣の首に右肘を押し当て左手は怪獣の右手を押さえそのまま力任せに押す。
怪獣も抵抗するがズリズリと押されていく。更に王国から遠ざけるために怪獣を両手で抱え上げ投げ飛ばす。
地面が揺れて投げ飛ばされた怪獣は二転三転して止まった。しかし怪獣は何事もなかったかのように起き出し、 「クアァァァァァァァ!」 と吠えバーニンガーを威嚇する。
「そう簡単には倒れないか。ならばもっと強力な一撃を喰らわしてやる」
気合いを入れて拳を握り締める炎とバーニンガー。しかしバーニンガーにはある問題があった。
「バーニンガーのエネルギー残量は?」
シレイがスクリーンに映るバーニンガーと怪獣を見ながら、オペ美に確認する。
「バーニンガーのグレイムエネルギー残り四〇パーセントです。ツイングレイムハート稼働率は七〇パーセント。尚も上昇中です」
「やはりエネルギーの消費が激しいか」
百年間の眠りから覚めたばかりのバーニンガーと今日初めて操縦する。どうしてもエネルギーの消費が激しくなってしまう。
「ナーシア、バーニンガーには強力な武器はないのか?あの怪獣を一瞬で倒せるような必殺技とか?」
「あるにはあるけど今のエネルギー残量じゃ、下手したらエネルギー切れになるかもよ?」
「そうだ。勇者」
シレイから通信が入る。
「今バーニンガーのエネルギーはかなり少ない。ここは慎重に行くべきだと思うが」
シレイの言う事は理解できる。でも、だからこそ炎は短期決戦に賭けようとした。
「大丈夫です。残されたエネルギーで何とか怪獣を倒してみせます。だからお願いします必殺技を教えてください」
「分かったわよ。シレイごめん。いい炎、今のエネルギー残量で使える必殺技はこれよ」
炎の頭の中に新たな情報が流れ込む。
「分かったありがとう。ナーシア」
「技の名前はあんたが考えなさいよ」
「よしこいつを喰らえぇぇぇ!」
バーニンガーの右手が肘を曲げ肩まで上がり手首の関節はロックし拳は真っ直ぐ怪獣を狙う。その時右前腕部のカバーが展開、そこから四つのブースターが出現し緑の炎が噴射される。
「喰らえ。ロケットパアァァァンチ!」
バーニンガーの拳がとてつもない速さで怪獣の顔にめり込む。怪獣の歯が何本か宙を舞う。
「まだまだぁぁぁ!」
次は左のロケットパンチが唸りを上げ怪獣の顔を打つ。
「次はこいつだ。ロケットアッパァァァァ!」
バーニンガーは右の拳を怪獣の顎目掛けて打ち上げる。
ブースターから緑の噴射炎が尾を引きながら、顎を打ち抜く。 だが怪獣はまだ倒れない。
ならばと、もう一発左のロケットパンチを打とうとした時、バーニンガーの目から光が消え、糸が切れた操り人形のようにバーニンガーの動きが止まった。
「バーニンガーのグレイムエネルギーがゼロになりましたです」
「怪獣。無防備のバーニンガーに接近中」
オペ子とオペ美の報告はどちらも炎とバーニンガーのピンチを伝えていた。
「勇者に連絡出来るか?」
「無理です。エネルギーが尽きて通信不能」
動かなくなったバーニンガーの中で炎は何とか動かそうともがいていた。
「くそ。エネルギーが切れたのか? ナーシア何とかならないのか?」
「無理よ。グレイムエネルギーが底をついてるのよ。動けるわけ無いじゃない」
バーニンガーに衝撃が襲う。エネルギーが切れてしまっているので外の状況もわからなくなっていた。その時シレイから腕のブレスレットに連絡が入る。
「勇者。怪獣が動けないバーニンガーを攻撃している。このままでは危険だ。どうする脱出するか?」
(脱出。つまりそれはこの状況から逃げ出すという事か?そんな事は出来ない)
「それは出来ません。そんな事をしたら王国が滅んでしまう」
その時炎の頭の中にイーリス女王の顔が浮かんでいた。
「それにイーリス女王を悲しませたくはないんです!」
更に衝撃が襲う。怪獣が身体ごとぶつかってきてバーニンガーは仰向けに倒される。更に足で何度も踏みつけてくる。バーニンガーのダメージは神経接続している炎にも身体に苦痛を感じる。
「炎、もう無理よ。バーニンガーは動かないんだから早く脱出しないと」
「駄目だ!俺は逃げない。頼むバーニンガー動いてくれ。俺はアイツを倒したいんだ。ぐはっ」
怪獣の踏みつけでバーニンガーが軋む。
「頼む動いてくれ。バーニンガァァァァ!」
その時、炎の叫びに答えるようにバーニンガーの目に火が灯る。
「バーニンガーのグレイムエネルギーが回復。ツイングレイムエンジンの稼働率も上昇中です! シレイ」
「エネルギー回復の理由は?」
「分かりません。バーニンガーの胸部タービンは変わらず大気中からグレイムエネルギーを吸収しています。けど……」
「けど何だ?」
シレイはオペ子に聞き返す。
「胸部タービンの吸収量ではこのような急速回復はありえません」
「一体何が起きているんだ」
バーニンガーを踏み潰そうとした怪獣の足が止まる。バーニンガーの右手が足を受け止めていた。
「動く、動くぞ。このまま一気に怪獣を倒すぞ。バーニンガー!」
そのまま怪獣の脚を掴んだ右手で怪獣を投げ飛ばす。投げ飛ばされた怪獣は地面を削りながら吹っ飛ぶ。
「バーニンガー、グレイムエネルギー五〇パーセント回復。更に回復していくです。ツイングレイムエンジンも稼働率八〇パーセントを越えてるです!」
「シレイこのままいけばアレが使えるのではないかと」
オペ子の提案にシレイは頷く
「うむ。いつでも使える様に準備しておけ」
「了解しました」
「了解です!」
怪獣の突進を受け止めるバーニンガー。
怪獣とバーニンガーが至近距離で睨み合い、怪獣の目がバーニンガーと神経接続した炎と目が合う。
怪獣の目が合っただけなのに炎は恐怖を感じていた。
「怖くねぇ、怖くなんかないぞ! 俺はお前なんか怖くなんかない」
バーニンガーの右ストレートが怪獣を殴る。怪獣は少し後退すると尻尾を鞭の様に振るう。
バーニンガーの腹部に尻尾がめり込み吹っ飛ぶバーニンガー。再度反対側から尻尾が襲いかかる。
「こんにゃろ!」
炎はタイミングを見計らって尻尾を掴むが、失敗して又吹き飛ばされる。三度目の尻尾がバーニンガー腹部にめり込む。
しかし今度は、バーニンガーは吹っ飛ばなかった。何故ならバーニンガーが尻尾をガッチリと掴んでいたからだ。
炎は両脚に力を込めて踏ん張り、バーニンガーの両腕に力を込めていく。
バーニンガーの両脚が地面を踏みしめる。硬い硬殻に守られた尻尾に徐々に無数のヒビが入っていく。
「この尻尾もらったぁぁぁぁ!」
炎は叫ぶと同時に両腕に一気に力を込めると、怪獣甲殻が割れ尻尾が千切れた。
「グギャアァァァァァァァ」
怪獣がまるで悲鳴の様に長く吠えた。
一気に攻めようと近づいたバーニンガーに怪獣の反撃が襲いかかる。バーニンガーの左拳を右手で受け止めバーニンガーに噛みつく。
バーニンガーの肩口に鋭い牙が突き立てられ強靭な顎がバーニンガーの装甲を潰していく。
「うわあぁぁぁぁ」
炎の肩口に鋭い痛みが走る。
怪獣が一度口を離し更に深く牙を突きたてようと噛みついてくる。しかし怪獣が上に吹き飛ぶ。怪獣のアゴにバーニンガーの拳が打ち当たる。
「そんな何回も噛みつかれてたまるかぁぁぁ!」
バーニンガーの右アッパーが怪獣のアゴを打つ。
アゴを打ち上げられた怪獣がそのまま頭を振り下ろしてきた。
咄嗟に右腕でガードすると鉈の様な角が振り下ろされて右腕半ばまで食い込んだ。
「ぐっ一難去ってまた一難か」
「炎、右腕のブースターが破壊されて使用不能よ」
「まだまだ。左がある。ロケェットパンチィィィィ!」
ロケットブースターが点火された左拳が怪獣の胸部を突き槍の様に鋭い一撃が突き刺さり胸部を突かれた怪獣は距離を取り、鉈の角を槍の様に構えて突進してきた。
「突っ込んで来るわよ。炎」
炎は受け止めるために待ち構える。
「来やがれ。怪獣」
鉈の角を両手で受け止めるが、勢いを止められず怪獣の鉈の角がバーニンガーの腹部に突き立てられる。
ズルズルと突進の勢いを殺せず後ずさるバーニンガー。
何十メートルか後ずさってから、両足を踏ん張って止まる。
だが鉈の角はバーニンガーの腹部に徐々に突き刺さっていく。
「ちょっと炎、どうするのよ。このままじゃやられちゃう!」
「いやこれでいいんだ。ナーシア」
更に鉈の角が深く突き刺さる。
バーニンガーが角が食い込む腹部と両腕で鉈の角を固定する。そして吠える炎。
「ロケットフゥックゥゥゥゥ!」
炎が叫ぶと同時にバーニンガーの左腕が緑の炎の尾を引きながら、鉈の角の側面に拳を叩きつける。
予想よりも軽い音と共に怪獣の鉈の角が折れる。
「このツノはオマエに返すぜぇぇぇ!」
バーニンガーは右手で腹部に刺さった鉈の角を引き抜くと怪獣の右の肩口に突き刺した。
「グアァァァァァァァ」
怪獣が痛みに悶えるかの様に吠える。
この時、炎は身体全体に力が漲っているのを感じていた。炎の身体が緑の炎に包まれる。不思議と熱さは感じない。むしろ温かさを感じていた。
「この炎はいったい?」
「炎、これはフルパワーモードよ。今情報を送るわ」
炎の頭の中にフルパワーモードの情報が流れ込んできた。
「そういうことか。よしこれなら勝てる!行くぞ。バーニンガーフルパワーモード!」
バーニンガーの後頭部から緑の炎がまるでたてがみの様に伸び胸部のグレイムタービンが緑の炎を吐き出しながら激しく回転する。
「シレイ。ツイングレイムエンジン稼働率一〇〇パーセントを超えました! グレイムエネルギー充填率も一〇〇パーセントです!」
オペ美がテンション高くシレイに報告する。
「よし。超必殺技、使用承認!」
シレイのこの一言が超必殺技の封印解除キーとなる。
「了解。超必殺技封印解除。回転式格納庫作動確認。バレットワン、次元転送発射口に装填完了です!」
回転式格納庫はその名の通りリボルバーのシリンダーの様な形をしておりそこには3種類の超必殺技が2個1セットになって格納されている。
炎の元にシレイから通信が入った。
「勇者。そちらに超必殺技を次元転送する。そのためにはバーニンガー周辺の空間を安全な状態。つまり怪獣に邪魔される訳にはいかん。なので、怪獣をできる限り遠ざけるんだ。頼んだぞ!」
「超必殺技?なんかよく分からないけど、了解。怪獣を遠ざければいいんだな」
殴りかかる怪獣の一撃を躱し怪獣の首根っこを掴んで、右手一本で持ち上げる。
「ドオリャァァァァァァァ!」
気合と共に怪獣を投げ飛ばす。背中が下だった怪獣は千切れた尻尾を空中で振って無理やり手脚を下にして着地する。しかしこれでかなり距離が開いた。
「よし今だ!」
シレイの一声一閃。
「了解。バーニンガーと次元転送発射口 の転送軸一致」
「次元転送発射口作動。バーニンガーの前方にゲート開きます」
オペ子の報告が司令室に響き渡る。
バーニンガーの目の前の空間が避けバーニンガーの腕がまるまる入ってしまいそうな穴が空くのだった。
「炎、そこにバーニンガーの右手を入れるのよ」
空間に空いた穴は中がどうなってるか解らないほど暗く時々スパークしていた。
「ここに?大丈夫なのか?」
「つべこべ言わないの。男なんだから早くしろー」
「分かったよ。どうにでもなれ!」
空間に開いたゲートに勢いよく右腕を入れると何かが右腕と合体した感覚が炎に伝わる。
「超必殺技バーニンガーの右腕とドッキング完了しました」
「炎、そのまま右腕をゲートから引き抜きなさい。閉じたらそのまま右腕持ってかれちゃうわよ」
ナーシアのアドバイスを受けて炎は慌ててバーニンガーの右腕を引き抜く。
右腕ドッキングした物は右腕のシリンダー部分を一回り大きくして4つのブースターを付けたもので、1番目を引くのは拳に当たる部分には金色に輝く大きなドリルになっていた。
「炎、これがその武器の情報よ。これの名前はあなたが決めてね」
炎の頭に右腕の超必殺技のスペックが流れ込む、炎は数秒考える。
「…………決めた。これがこの超必殺技の名前だ!」
体制を立て直した怪獣が全速力でバーニンガーを喰らい尽くそうと向かってくる。
向かってくる怪獣に対して炎は右腕の超必殺技を構える。
「こいつで貫く!」
四つのブースターが点火し、金色のドリルが猛烈な唸りを上げて高速回転する。
「喰らえ。必殺ドリルゥブーストォォォボンバァァァァァァァ!」
ドリルブーストボンバー。それは4つのブースターの突進力と対怪獣硬殻貫通衝角の貫通力で怪獣の硬殻を貫き体内に到達させた後、衝角内部に装填され圧縮したグレイムエネルギーを解放させ怪獣を内側から破壊する超必殺技だ。
突進してくる怪獣に対してバーニンガーの右腕をドリルブーストボンバー毎突き出す。
四つのロケットブースターから緑の炎と轟音を上げ『対怪獣硬殻貫通衝角』が回転しながら、怪獣に迫る。
黄金のドリルが抉りながら怪獣の胸部を貫く抜いていくドリルブーストボンバーを喰らって後退していく怪獣。
炎は、後は内部で爆発すれば勝てると思った。その時怪獣が予想もしない行動を取る。
怪獣はドリルブーストボンバーを両手で挟み込み、両手で潰そうとしていた。
ドリルブーストボンバーに徐々にヒビが入っていく。
「やばいやばい炎、ドリルブーストボンバーが壊されちゃうわよ!」
「分かってるよ。でもどうすれば?……そうだ!シレイ確か超必殺技は2個1セットでしたよね?」
「はい。その通りですが、まさか」
炎はニヤリと笑う。
「そうです。そのまさかです。もう一度ドリルブーストボンバーを転送して下さい」
「いいだろう。オペ子、オペ美。もう一度転送用意だ!」
「了解しました」
「了解です!」
再びバーニンガーの前方にゲートが開き、再び超必殺技が転送される。
「よし超必殺技ドッキング!」
左腕をゲートに入れ引き抜く。その左腕にはもう1つのドリルブーストボンバーがドッキングされていた。
「超必殺左腕とドッキング完了しました」
「よし。これが本当のトドメだ! 超必殺ドリルブーストボンバァァァァァァァッ!」
バーニンガーが構え四つのブースターが点火し対怪獣硬殻貫通衝角が甲高い音を上げて回り出す。
バーニンガーが左腕を突き出し発射されるドリルブーストボンバー。
発射されたドリルブーストボンバーは真っ直ぐ怪獣に向かう。
怪獣は最初のドリルブーストボンバーの破壊に夢中で、二発目に気づかない。二発目のドリルブーストボンバーが怪獣の口を貫いた。
その鋭い牙も砕き、強靭な顎も破壊して口から頭蓋骨を破壊する。
怪獣は抵抗する力を失い二つのドリルブーストボンバーが怪獣をカタパルトで射出され離陸する航空機のように空に飛んでいく。
炎が空に向けて指を指して一言叫ぶ。
「宇宙まで飛んでけぇぇぇ!」
そのまま怪獣が大気圏を突破したその時、二つのドリルブーストボンバーの対怪獣甲殻貫通衝角内部の信管が作動し圧縮されたグレイムエネルギーが解放され怪獣の体内で炸裂し大爆発を起こす。