再会
「さて、あの人達はどこにいるのかな、と」
俺が戦場を駆け回りながら探しまわっていると、懐かしい顔を見かける。とはいえ、ほとんどが俺の敵だけどな。俺を見かければ威嚇レベルだけど、魔術を放ってくる。
「待て、慎也!」
「レジルか……。何の用だ?」
「おとなしく投降しろ!今なら僕も何もしない!」
「……その言葉は、俺とお前の実力差からは生まれない物だな。お前じゃ俺には勝てない。それ位知ってるだろ?」
「勝てないからと言って挑まない訳にはいかないんだよ」
「嫁さんの為にも控えてろよ。お前が死んで悲しむのはあいつだからな」
「そりゃ優しい言葉だけど……。でも何もしないとなると、逆に嫌われそうでね」
「そうかい。じゃあ、黙っててもらうとするか」
――――破重力――――
この術は過重力の約三十倍の重力を叩きつける技だ。そういう術式を使っていく内にこういう術も出来上がった。
「ぐぁ!」
「大丈夫だ。死にゃあしねえ。気絶には持ち込ませてもらうが、な!」
「ガァァァァァアア!」
「止めて!」
「ジェルザか……。とっととそこの馬鹿を連れて行け。俺にはしなきゃならない事があるんだから」
「レジル!」
ジェルザは近寄って懸命に回復魔術をかけていた。この分なら二~三十分ほどで回復するだろう。俺がこの場所を去って走ろうとすると、今度はジェルザから声が掛かった。
「……どこに行くの?」
「言ったろう?俺にはしなければならない事があると。そのためにとある人を探してるのさ」
「あんたは何のために戦うの?」
「決まっているだろう?一つは『試練』の為。もう一つは……大切な人達のためさ」
「そう……。あんたは変わらないのね」
「俺はいつだって変わらないよ。さて、お目当ての人達もようやく見つかったし俺は行くわ」
俺が視線を上にあげると、そこにはビルの廃墟の上からこちらを見下ろしている、三橋さんと二木さんがいた。そしてこちらに背を向けると、戦場を移動し始めた。
俺はその二人の背中を追った。三大トップの二人。この二人を倒すのは俺の役目。そのために俺は、ここまで戦ってきたのだから。
俺はこの二年で、他の神々を喰らってきた。後は中心人物達ばかりだ。その中でも大物であるこの二人の力を喰らえば、俺は誰にも負けない力を手に入れられるのだから。