馬鹿の末路
始まりの鐘は唐突に鳴らされた。
とはいっても、俺は分かっちゃいたが。しかし清々しいほどの光景だな。龍は跋扈してるわ、ギリシャ神話の獅子とかいるわ。
さて、俺もそろそろ準備を始めるとしようかな。
「兄さん!」
「ん。どうしたんだ?」
「真由美さんがどこにもいないの!」
「……なんだと?」
明美が手紙を俺に差し出してきた。内容はこうだ。
『九条邸まで、30分以内に来い』
何時から30分だよ……。そう思っていると、いきなり手紙が全部燃え始めた。なるほど、こういう事か。まあ、30分もかからないんだけど。
「そんじゃ、行ってくるわ」
「私も行くけどね」
「……ま、止めないけどさ。自分の身は自分で守れよ?」
「分かってるって」
俺達は九条邸まで空間移動術を使って行くと、そこには真由美の元婚約者の九条……なんだったっけ?まあ、いいか。取り敢えずあの馬鹿と、縄で縛られた真由美がいた。
「よく来たな。歓迎はしないがな」
「されたくもないが。とりあえず、とっとと真由美を返せ」
「簡単に返す訳が無かろう?」
「じゃあ、どうするっていうんだ?」
「貴様を殺し、改めて彼女を手に入れる」
「そうかい。――――じゃあ死ね」
――――グシャッ!
あまり形容したくないような音がなった。一瞬で鎧を纏って、馬鹿の腹に穴をあけた音だ。
「な、なん、だと?」
「さすがは馬鹿だな。俺を前にしてそんな余裕を出せるんだからいやはや、面白いな。
先手必勝ってな。ま、ここで死んで行け」
「き、貴様ァアアアッ!」
――――灼帝――――
俺が新しく使役できるようになった眷属、この場合は眷獣っていうのか?で一気に体をこの世から消した。ま、いいざまだな。
真由美の縄を解くと、俺は明美に後を任して戦場をかけ始めた。あちらそちらで悲鳴やら怒号やらが聞こえてくる。
俺はとある場所に向かってかけ始めた。この時の為に用意しておいた戦力が待っている場所に。