指名
「さて、今日はどうしようかな」
フェンリルの内部で俺は依頼が入っている情報機器の前に立っていた。すると、俺宛てに一件以来のメールが送られてきた。
「なんじゃこりゃ?……依頼内容は神話生物の討伐か。それで対象は?ラタトスクって……まじかよ?まあ、確かにあれは面倒な動物だけど。でも、人間には実害はないだろ?」
そのまま読み進めていくと、どうやらラタトスクが大量に発生した……らしい。あの動物はそういうのじゃないと思うんだけど。
神話上ではあの動物は、フレースヴェルグという鷲とニーズヘッグという蛇の喧嘩を煽っている動物だ。ぶっちゃけ、やっているのはこれだけだ。
「討伐対象になるほどじゃ無いと思うんだがな……。高々大量発生しても、危険にはならないだろう。
これは放置、でいいか」
指名で依頼してくれた人には悪いが、これはきっぱりと断ろう。俺は返信のメールを送った。今日はそんなにいい依頼も見つからなかったし、普通に帰るか。
「あれ、お帰りなさい」
「ああ、ただいま。……あれ?花蓮は?」
「ちょっと用事が出来たので、皇宮に向かったそうですよ」
「皇宮に?」
「何か変な事でもあるんですか?」
「皇宮は滅多な事がない限り使われる事は無いんだ。それこそ、前回の俺の様に世界的に重要な人物とかが下手な事をした場合とか以外には」
「それは……結構まずいのかもしれませんね」
「……ちょっと出てくる。ひょっとしたら帰りは遅くなるかもしれない」
「わかりました。二人が帰ってくるのを待ってます」
「悪いな。それじゃ、行ってくる」
俺はそのままは掛けておいたジャンパーを羽織って、家を出た。