護衛の終わり
道中は特に問題なく、(太陽が暖かくて眠りかけたのは秘密だ)車に二時間ほど揺られて隣町に到着した。むしろ何の障害もなくて拍子抜けしたぐらいだ。
ホテルの前に到着すると、数名のホテルマンの人が立っていた。まあ、予約ぐらいはしてるよな。俺はその前で車を停めて、助手席の扉を開けた。
「それじゃあ、これで任務は完了って事でいいですか?」
「ええ。ここまでありがとうございました。怪我などはありませんか?」
「あるわけありませんよ。それでは、目的はわかりませんがここでの滞在をお楽しみください」
「……よくわかりましたね。私が日本に住んでるわけじゃないって事」
「うーん、なんていうんでしょう?こう、全体の雰囲気のような物がこの国とは違うっていうのか。まあ、そんな感じです」
「そうなんですか。それじゃあ、はい」
神崎さんは俺に向かって右手を差し出していた。?これはどういう事?外国風に口付けでもしろ、ってことか?いや、違うな。これはひょっとして……。
「こう、ですか?」
「はい」
やっぱり握手か。そう安心して、握手をしたとたん俺(多分神崎さんも)の頭に何かがほとばしった。そして、一瞬だけど神崎さんから黄金の剣のようなものが見えた。俺たちは同時に手を離し、己の手を見つめていた。あの姿は一体……?
「お嬢様、もうよろしいでしょうか?さすがに九条様もくたびれていらっしゃるでしょうし……」
「……そうですね。それでは爺、彼らに部屋を用意して差し上げて」
「そこまでする必要はありません。言うほど働いてはいませんしね。俺たちはこれで失礼します」
俺がそう言って車の方に戻ろうとすると、あの二人がいらん事を言い始めた。
「ええ、泊まっていきましょうよ。せっかく神崎さんもご厚意なんですし」
「そうですよ。こんな時以外、この町に来たりしませんよ?思い出作りに、ね?」
「ね?じゃねえよ。こういう時は遠慮しとくのが筋ってもんだろ」
「いえ、せっかくですしお願いします。お嬢様の顔を立てると思って」
「……それなら一般客用で三人部屋を一つか、二人部屋を二つお願いします」
「かしこまりました。君達、お嬢様をお部屋にお連れしておいてくれ」
「「「かしこまりました」」」
そういうと、そこには俺たちを除くと誰もいなくなった。俺的にはとっとと帰りたかったんだが。
「そういえばリーダ―、この後暇だったら俺の修練の相手して下さいよ」
「え、ずるい!それなら私も、私もしてよリーダー!」
ひとまず、修練ついでにこの調子に乗った二人もシバクとしようかな。
はい、よくわからないかもしれませんが護衛もなんだかんだで終了。これからだんだんと面白くしていこうと思っていますので、乞うご期待。