着替え
「ここが……龍の世界」
平然と飛龍が飛んでいた。城に訪れた事はあるんだが、こんな街からちょっと離れた場所に来たのは初めてだった。自然が沢山あって、今の世界じゃ見れない風景だな。
龍の世界は秘匿している物が多く、訪れる事がそもそも難しい。でも、今回みたいにこの世界からの依頼なら訪れる事が出来る。
この世界の情報を手に入れれば、それだけで十年は遊んで暮らせるだけの金が手に入るレベルだ。
「さて、取り敢えずもう少し先にある小屋に行く。そこで龍族の服装に着替えてもらう」
「小屋で着替える?」
「ああ。我々は顔パスで何とかなるが、君には白竜の従者という事で潜入してもらうために着替える必要があるのだよ」
「なるほど。というか、それなら一度着た事ありますよね?」
「そうだね。とはいえ、あれよりも上質な物だが」
始祖龍に面会するだけでいちいちそんな服を作るのかよ。金の無駄遣いだろ。というか、これはひょっとして死に装束も込みか?
少し歩いた先にあった小屋には、人数分の服があった。六つはそれぞれの色を象徴する服で、もう一着は少し見劣りするが純白の色だった。俺的には白は好きだからいいんだけどな。
と批評してみた物の、俺は服の事は詳しくないから全然分からないんだが。でも、実際着てみると動きやすかった。なるほど、これは戦闘も出来るし見栄えもいいし役に立つだろう。
「それでは行くとしようか。我らが神の待つ場所に」
「さながら我らは、神に反逆する国賊といったところでしょうな」
「そうやって釘をさす出ない。士気が下がるだろうが」
「それはさすがに仕方ないのでは?」
「このような所で迷う暇など、もう我らには無いのだ。そんな事を言っている暇があるならば対策でも考えていろ」
「白竜……。それもそうだな。一番始祖龍に忠誠を誓っていた貴様が、すでに覚悟を決めているのだ。我らも行くとしよう」
白竜様はさすがだな。このカリスマ性といい実力といい、流石は俺が忠誠を誓う主だ。でも、これから挑むのはそれ以上の存在だ。気を引き締めていこう。