出発
翌日の早朝七時。俺の前には白竜王様・紅竜皇・蒼龍帝・黒龍帝・緑竜王・黄龍皇がいた。しかし目の前にしてみると分かるな。
『竜王』と呼ばれる生物の圧倒的な力が。俺がこれだけの力を手に入れる事は出来るのだろうか?しかも始祖龍はこれらを纏める最強の存在。神にすら匹敵する存在。
そんな物と闘う事になろうとは。半年前の自分じゃ到底考えられなかっただろうな。
「準備は良いかい?」
「はい。いつでも構いません」
「お?何だか魔力がこの間見た時よりも大きくなっているような気がするな」
「確かに。これなら勝率は数パーセントぐらいは上がるでしょう」
「それでも高々数パーセントでしょう?この面子もいるとはいえ、考えられませんね」
「そう言うな。緑の。元々あり得ないような賭けなのだ。勝率は高いに越した事は無い。そうだろう?」
「それはそうかもしれませんが……」
「そろそろ行こうとは思わないんですか?」
「うんそうだね。それじゃあ、開くとしようか。龍門を」
場所は移動してうちの庭。そこに三人がかりで術式を描き始めた。これが噂に訊いていた――――
「そう。この世界と我らの世界をつなぐ扉。通称、龍門だ」
「こんな場面はそう見れないんだから感謝してくれよ?」
「あなたに感謝する謂れはありません。これは俺が受けた『任務』ですから」
「なるほど。君はそういう認識なのか」
「?それはどういう――」
「開いたぞ。順に入っていってくれ」
どうやら術式が完成したらしい。俺がその術式の中を覗いてみると、そこには広い草原が見えていた。この向こうが、龍の世界。初めて行くな。
竜王の方々はどんどん入っていった。俺もそれを付いて行こうとすると、花蓮と真由美に声をかけられた。振り向いたら順に頬にキスされた。
「いってらっしゃい。無事に、とは言いません。でも、ちゃんと帰ってきて下さいね?」
「そうそう。私たちはこの家で、待っているからさ」
「……ありがとう。いってきます」
俺は龍門をくぐり抜けた。
祝!ついに百話に到着!ここまで『白鎧金剣』を読んできてくれた皆様。ありがとうございます!これからもがんばりますのでよろしくお願いします!