治療
「どうも、こんにちは」
場所は移って、フェンリル東京支部。そこにある医務室に俺は来ていた。ここのお医者さん――――テライル先生は凄い優秀だし、それ俺はこの人にだけ癒してもらう事になっている。
「あら、乾君じゃない。どうかした?」
「えーと、依頼で腕が折れたような気がするんで」
「へー。珍しいわね、貴方が怪我するなんて。まあいいわ。こちらにいらっしゃい」
俺は寝台の所で寝かせられた。
「ありゃ、ほんとだ。っていうか、これ折れてるんじゃなくて粉砕されてるわね。どんな任務を受けたらこんな事になるんだか」
「黒龍の討伐依頼ですよ」
「え!?」
さすがに先生も驚いたような声を上げていた。まあ、龍種を単体で討伐してこんだけならめっけものだろう。
「まさか、一人でやったの?」
「ええ」
「馬鹿じゃないの!?でも一人で龍種を討伐って……。また新しい称号がつくんじゃないの?」
「別にそれはどうでもいいんですけどね。これは腕慣らしのような物ですから」
「はあ、もういいわ。それじゃあ、こうしてっと。はい、治療は終わりよ」
俺が実際に腕を振り回してみると、かすかな痛みはあるものの治療前の激痛は無かった。右腕は包帯がぐるぐる巻きの状態だったけど。
「さすがに完治は無理だった。二、三日もすれば完治すると思うけど……」
「二、三日なら大丈夫です。ありがとうございました」
「それは別に構わないよ。……次もちゃんと戻ってきなよ?傷だらけでも、何とか私が治すから」
「……ありがとう」
俺はもう一度お礼を言うと、部屋を出ていった。