久しぶりの再会。
「お前ら、久しぶりだな」
「そうですか?まだほんの十日ほどしか経ってませんよ?」
「その間に濃い経験をしてきたからな。しかし、変わらんな。お前らは」
「まあ、この間Sマイナスの依頼をクリアしたんで、やっとSマイナスになれましたよ」
「ほう、そうか。そりゃおめでとう」
「リーダーだってSSランクになれたんでしょ?おめでとう、だよ!」
このままじゃ褒め合いで終わりそうだったので、とりあえず喫茶店まで移動したんだが……。
「それでリーダー。真由美さんとはやっちゃったんですか?」
「ブー!……げほ、げほ。……お前は何をいっとんじゃ!」
「え?キスまでされといて何もしてないんですか?」
「……俺はそういうのを軽い気持ちではしたくないし、それに俺がそんなことできる訳無いだろ?」
「リーダー、まだそういう所は治って無いんだね。真由美さんも大変だね」
「うるさいよ。それに真由美と花蓮は俺の家族だ。もう、な」
「あ、そうなんですか。……うん?花蓮って、もしかして……」
「一花花蓮、だよ。一桁数字のトップであり、主神オーディンだ」
「それは知ってますよ!え?本当ですか!?」
「マジ、だよ。でも、今はそんなことどうでもいいんだけどな」
「え!?いやいや、全然どうでもよくないでしょ!?」
「いや、俺一週間ほどしたら始祖龍の討伐に行かなきゃならんのだよ。死ぬ可能性、大だよ」
「「……ッ!」」
さすがに驚き過ぎて声になっていなかった。まあ、無理ないよな。ぶっちゃけつい一か月前の俺だったら死ぬ可能性の方が高いし。今の状態でぎりぎり五分五分という感じだ。
「リーダー、死ぬ気ですか?始祖龍は龍種の神とも呼ばれる存在ですよ?」
「一応各竜王の方々も協力してくれるらしい。それで何とか、って感じだな。俺単体だとぎりぎり死ぬ、かな?」
「それを二人は……」
「知ってる訳無いだろ?神喰狼との本契約を終えても、俺の制限が解除されるだけで、俺単体の力は変わらないんだから。
それに俺は変わらず神喰狼の力に振り回されてるだけだ。その力を最大限発揮できるレベルにしないと、いけないんだよ。この先の為にもな」
「それは……『滅び』の為、ですか?」
「当たり前だろう?俺はいつの日かお前らに敵対する存在だ。本来ならこうしている方がおかしいんだぜ?それにこれは本来開けてはならない、パンドラの箱を開けた結果だしな」
「それは分かってますけど……」
まだこいつらは覚悟が決まってないのか。俺は発破をかけるためにこの言葉を口にした。
「いい加減腹を据えろ。俺達は戦うんだ。その運命は、絶対に覆らない」
「……!はい!」
「それじゃあな。俺はこの辺で。依頼を受けにきたんだからな。今日は」
そう言いつつ、俺は席を立ち店を出て行った。嫌がらせに払いはあいつらに任せた。
相変わらず仲間には甘い慎也君でした。では、これにて。