説得の終わり
「いやいや、何言ってんの!?」
この人は一体何を口走ってんだ?抱いて下さい?それは何?抱きしめろって事?それとも別の意味の方か?っていうか花蓮の顔が真っ赤になってるんだけど!
「異性として、という意味です」
「いやいや、どういうふうに考えたらそんな考えに至るの?」
「あなたは自分の事を許せないんでしょう?どうあっても」
「まあ、そりゃ。俺は自分が許されるなんて思ってないし。この世界は善で満ち溢れている訳じゃないんだから」
「それなら子供を持てばわかるんじゃないんですか?そういった意味を」
「そんな突発的な理由で出来る訳無いだろ!」
俺は知らず知らずのうちに声を張り上げていた。それぐらい真由美の言った事に対して憤りを感じていた。
もしそうやって子供ができたとしても、俺はその子の事を心の底から愛する事が出来ない。そんな自分勝手な理由から出来てしまった子の事を、何よりそんな理由でやってしまった俺自身の事が許せなくなるからだ。
「俺はそんな理由でそんな事が出来るほど、子供じゃねえんだよ!
それで例え子供が出来てしまっても、俺はその子の事を心の底から愛する事はできない。
新たな命を授かるって事は、それだけ重たい事なんだよ!」
「それは……」
「……そうやって俺の事を心配してくれる、その心は有難いよ。でもこれは、俺自身と時の解決する事だから」
「それでも、私は。あなたの事が好きだから、そんな苦しんでる姿を見たくないんです!」
「真由美。それは自己満足だよ。これは、慎也が考える事なんだから。私達はそれを待っているしかないんだよ」
花蓮は真由美を諫めていた。それを言われた真由美は苦しそうな顔をしながらも、でも最後には振り切ったような顔をしていた。
俺はそんな二人に問答無用な勢いでキスをしていた。今回のは舌も入れてみた。二人とも蕩けきったような顔をしていた。俺は髪を一撫でした後に、居間を出て両親の部屋に向かって歩いっていった。