家の中で
「それでさっきからどうしたんだ?二人とも」
「「……」」
今は家に帰りついた訳だが、二人は変わらず黙ったままだった。うーん、一体白竜様とどんな話をしていたんだろう?
「あの」
「うん?何だい?」
「さっき白竜様に訊いたんです。その……慎也さんのご両親の話を」
「へえ。まあ、あのお方なら別に不思議じゃないけどね」
「どうして?」
「は?そりゃあのお方は白の眷属のトップ。それぐらいは簡単に知る事が出来るから」
「そうじゃなくて!……怒らないの?」
「どうして怒らなくちゃいけないんだよ?どうせいつかは知ることになっていた事だ。
それで、どう思った?俺の愚かな間違いによって死んでしまった両親の事を訊いて」
二人は俺の言った事を訊いて、口を締めたまま顔を伏せた。
俺の両親はとある交通事故で死んだ。俺が重力操作を間違えた事で、収拾がつかなくなり死んでしまった。ちなみにその時の俺は重傷、明美は奇跡的に無事だった。
それ以来、俺は両親の部屋に入る事が出来ない。トラウマになっちまってるからな。俺があんな事をしなければ、両親は無事だった。少なくとも死ぬ事は無かったのだから。
「慎也さんはその時の事がトラウマになっているって聞きました」
「うん。俺は両親の部屋に一歩入るだけで、発作が起こるくらいの重傷さ。でも、それは戒めだと思ってるからね。両親の命を奪ったのは自分だと、忘れないようにするための」
「そんなの!ご両親が見ても喜ぶ訳無い!」
「いつもそういう人がいる。でも、どうしてそんな簡単に人の心を語れるんだ?
俺には出来ない。俺の手で命を奪われた人は絶対にそう思うからだ。少なくとも俺なら恨むだろう」
「それは……」
「言い返す事なんか誰にもできない。しちゃいけないんだよ。俺はこの戒めを背負って生きて行くだけなんだから。君らが気にする必要はないんだ」
「「……」」
ありゃ、また黙りだしちまったぞ。はてさて、どうやるべきかな?そう思ったら、真由美がとんでもないセリフを吐き始めた。
「慎也さん、私達を抱いて下さい!」
「はあ!?」