皇宮にて
俺達は徒歩で皇宮までいった。実は学校から皇宮までってめちゃくちゃ近いんだよね。
まあ、ついた所でとんでもない人に会ってしまったんだ。
「は、白竜様!?どうしてこちらに?」
「ん?やあ、久しぶりだねえ。元気にしてたかい?」
「ええ、元気です。それで白竜様、どうしてこちらに?」
「ちょっと呼ばれてねえ。あの事だと思うんだけど」
「あの事、ですか?」
「うん、取り敢えず立ち上がりなよ。跪いてると喋りにくいんじゃない?」
そう、俺は姿を見て駆けつけた時からずっと跪いていた。二人はそんな俺の姿にずっと驚いていた。そりゃそうだ。俺はこのお方以外にはこんな事しないしな。
「あの、貴方が白竜皇バルア様ですか?」
「おや、こんな美しいお嬢さんに知って頂けているとは光栄ですねえ。確かに、私は白の眷属を統べる白竜の頂点、白竜皇バルアです」
「真由美、バルア様を知ってるのかい?」
「お父様からちょっとだけ。訊いてはいましたけど、実際に会えるとは思いませんでした」
「おひさ~。元気そうね、バルア」
「おやおやそれは貴女もそうでしょう?オーディン殿」
「その挨拶はいつまで続くんだい?」
「黙っているんだな、アスラ!」
「おお、怖い怖い。この温度差は何なんだろうな?バルア」
「さあねえ。でも私にも不快だからとりあえず降りてきなよ。あんまり嘗めていると――――」
「嘗めていると?どうなるんだい」
「殺すよ?若造はあまり調子に乗る物じゃない」
「そんじゃ、失礼させてもらうよ。早く来いよ、お二人さん。アメリカ支部の若造が怒ってるぜ?」
「………」
俺はあいつがいなくなるまで、睨み続けた。そしてあいつが視認できなくなると、俺は殺気を納めた。さすがにこの状態を維持し続けるのはつらいし、この方の前でそんな事をしておく訳にはいかないからな。
「それでは白竜様。俺はお呼びのようですので、この辺で失礼させていただきます」
「ああ、わかった。僕はこの子たちと話があるから。行ってきなよ」
「はい、失礼します。それじゃ、また後でね二人とも」
俺は二人にそう言うと、目的の部屋に向けて歩き始めた。