いざ、学校へ!
俺は術を使って飛んだ先は――――学校だった。そう、家じゃなくて学校。しかもここは結構有名な女子校だ。それを俺は気にせず門を通っていく。
「ちょっと、貴方ここは――――って理事長。お久しぶりですね」
「久しぶり。たまには来ないといけないな、と思ってね。それじゃ、お仕事がんばって」
「こんな所に来る人はそうそういませんけどね」
俺はそのまま校内を歩きまわった。二人とも不思議そうな顔をしながら、ついてきていた。いやあ、それにしても本当に久しぶりだな。一年ぶりくらいか?いや、入学式の時にも来たからざっと半年ぐらいか?
「それでなんでこんな所に来たの?」
「うん?だって普通考えないだろ?学校に、しかも女子校に逃げるとか」
「そりゃあそうだけど。っていうかここの理事長してるの?」
「してるって言っても、ほとんど仕事は校長に丸投げだけどね」
「あ、理事長!」
俺が、いや俺達が振りかえった先にいたのは明美と数人の女生徒だ。つってもこの学校には女学生しかいないがな!それにしても顔を見た事がないし、一年生かな?
「こんにちは。明美、久しぶりだな」
「うん、ずいぶんお楽しみだったようで。お土産は?」
「お前な、もう少し挨拶という物を大切にしろ。お土産はあるが家に帰ったらな。ここで渡すとクラスの人たちに全部食われるぞ」
「食べ物だけ?」
「な訳無いだろ。ちゃんとアクセサリー的な物もある」
「それならいいけど。どうかした?二人とも」
「「どうして二人ともそんな仲良いんですか!?」」
明美と一緒にした二人が突然大きな声で叫んだ。びっくりした。一体何なんだ?
「そりゃあ、兄妹だから。言ってなかったっけ?」
「「言ってません!」」
「それよりも三人ともいいのかい?そろそろチャイムが鳴るんじゃない?」
「あ、ほんとだ。それじゃあね、兄さん。また後でね真由美さん、花蓮さんも」
「ちょっと待ってよ明美ちゃん!理事長、失礼します」
「失礼させていただきます。待ってよ、二人とも!」
「あははは、頑張ってね~。さて、校長室にでも行っとくか」
「なんでまた?」
「仕事とかも溜まってると思うから。さすがに半年は放り過ぎたわ。いつもは大体三カ月に数回の頻度で来てたんだけどね」
さすがに校長もてんてこ舞いってところだろう。まあ、今は秋だからそんなに仕事が溜まっているとは思えないんだけど。
「ばれないように行かないと拙いんだよね。もしばれたら――――」
「理事長発見!早く捕縛するのよ!」
「げっ!?もうばれたのか!?二人とも、ちょっと失礼するよ!」
「えっ?って、ちょ!」
「え?な、何!?」
俺は二人を抱きしめると、いっぺんに跳んで逃げた。俺が見える範囲なら、俺は空間跳躍で移動する事が出来る。なんか「あー!ずるい!」とか声が聞こえてきた気がするが放置だ。
俺が来るたびに起こる行事みたいなもので、俺を捕まえたら何か報酬を払われているんだろうか?なぜか捕まえた子、或いは子達が俺にひっついて回るんだ。どういう事だろ?
まあ、とにかく俺達は何回か跳んだ後に俺達は理事長室の前に到着した。そして俺は校長室の扉を開いた。