黄金の剣
「慎也さん、お待たせしました。ギリシア正教会から頼まれていた物が届きましたよ」
「え、もうかい?また早いね」
俺が渡された包みを開くとそこには驚く事に凄くメジャーな聖剣が入っていた。
「デュランダル?最強の破壊力を持つ聖剣を送ってくるとは驚きだね」
「そうですね。でもこれなら勝てるんじゃないですか?」
「まだわからない。勝負事に絶対なんてあり得ないんだから」
「それでも楽になる事は確かよね」
花蓮の言葉は否定できない。確かに生半可な、それこそ聖剣師と呼ばれる鍛冶共が急場で作った剣なんか送られたら大変だっただろうし。竜美ちゃんはさっさと帰った。
「そう言えば慎也さん。聖剣についてですけど、変わった事があるんです」
「変わった事って?」
「剣になった時の形態が三つに増えました。
通常形態のエクスカリバー。速度特化のカリバーン。威力重視のコールブランド。この三つです」
「どれも呼び方が違うだけだよね。どれも結局エクスカリバーを指してるし」
「そう言う茶々はいらないんです!」
「でも、それなら戦い方にもバリエーションが出来るからありがたいよ」
俺はそう言いつつ、真由美の髪をゆっくりと優しく撫でていた。傷ついたりしたらいけないからな。すると気持ちよさそうな顔をしていた。
それを見た花蓮までせがんできて大変だった。二人ともなんだか安らいでいる猫のような顔をしていた。ためしに顎の下ら辺を触ってみると、嫌がりつつも幸せそうな表情を浮かべていた。
「さて、そろそろ行こうか。花蓮は援護射撃を頼むわ」
「了解。二人とも気をつけてね」
「「もちろん」」
花蓮が少し離れたビルに隠れた。そして俺達はそのまま立ち止まって、上を見上げた。ざっと数は三百人以上ってところだな。
「さあ、行こうか。我が妃」
「ええ、行きましょう。我が王よ」
俺は剣に変化した真由美を右手に掴み、俺は左手にデュランダルを掴んだ。そして聖皇剣の加護を受け、全身に黄金の鎧を纏いそして背中に天使のような純白の羽で空に飛翔した。