食堂での再会
「それで?何を訊きたいんだい?」
食堂にて俺達は飲み物だけを買って座っていた。まずは一番最初に話しかけてきた天条君達だ。
「あの魔術は何なんですか!?」
「俺の持っている光系統最強の魔術。俺を中心に三十キロ四方が吹っ飛ぶ末恐ろしい魔法だ。
俺がこれを最初に使った時、気づいたら周りに誰も残って無かったからな。ありゃ怖かった」
「はあ、なんでそんな魔術を使うかな?しかも神喰狼に意識乗っ取られてたでしょ。駄目じゃん、ちゃんと制御してないと」
「それは申し訳ないと思ってます。はい。でも、いつの間にか制御を奪われてたんだよね」
俺が一花さんも交えて話をしていると、その声は入口から唐突に聞こえてきた。そして同時に何かが飛んできた。
「光よ」
俺はそれを視認すると同時に呟いていた。
「ジズレイル、消し飛ばせ」
俺の足元の影から狼が出てきて、飛んできた光を咆哮で消し飛ばした。まあ、もちろんその後すぐに戻っていったが。基本的に面倒くさがりだから。
「それで唐突に何の用だ?『冥王』クロムウェル」
「なんで君がこんな所にいるんだ?不法侵入者にはそれ相応の罰を。当然だろう」
「黙れよ、ガキ。五年前みたいにぼこぼこにされたいのか?」
「私だってあれから何もしていなかった訳ではない。今度は立場を逆にしてやる」
「それ、死亡フラグだぜ?『過重力』」
俺は術式を作動させて、クロムウェルを地面に叩きつけた。そして俺は近づいた。もちろん一歩歩く毎に、重力は増していく。俺が魔力を流し続けているからだ。
「お前が俺の事を恨んでいるのは知っている。が、それでもお前程度じゃ到底俺には敵わないのさ。
それぐらい、いい加減理解したらどうだ?アラザルト・クロムウェル」
「黙れよ!狼風情が!貴様は山なり自然を駆け回っていればいいんだよ!どうせ貴様の家族だって同じなのだろう!」
「黙れって言ってんだろ?お前が喋る権利なんかねえよ」
空気を揺らすほどの拳打を腹に向かってぶちこんだ。なおも喋ろうとしたから、震脚の要領で足を動かし鳩尾に打ちこんだ。そして一気に意識を刈り取った。
「悪い。今日は気が削がれた。また今度でもいいかな?連絡先は後で竜美ちゃんに伝えておくから。
それじゃ、行くとしようか。こいつの傍には一秒たりとも居たくないし」
俺はそう告げると、残っていた皆に背を向けて歩き始めた。まったく苛々するな。なんでこんな感情を抱かねばならんのだ!腹立たしい。