その日の夜
「ねえねえ兄さん。私の活躍はちゃんと見ててくれた?」
「見てたって。でもなあ、いかんせん相手と実力差があり過ぎだな」
「あ、やっぱり?なんか弱いなあって思ったのよね。失礼だからその場では何も言わなかったけど」
「控え室に着いたらぼそっと呟いたんだろ?」
「イグザクトゥリイ!分かってるじゃない、兄さん」
「まあな。家族なんだからそれぐらいわかってるって」
その日の夜、俺は明美と居間で喋っていた。俺の家の風呂は異界に繋いでいるから結構広い。
二木さんは武器―――――金剛の鎌の手入れをしている。残りの三人――――真由美さんと一花さんと三橋さんは今風呂(っていうかもう温泉)に入っている。明美も入っていたんだが、先に上がったらしい。
俺はというと、紅茶を飲みながら菓子を摘まみつつ小説を読んでいた。もちろん俺だって読書の一つや二つはする。とはいっても基本的に薦められた物だけなんだが。
そしてちょっと読んでいると、明美に紅茶を淹れてくれとねだられたので、淹れてやった後今の状態に至る。
「「「上がりましたーー」」」
「やあ、湯加減はどうでした?」
「気持ちよかったですよ。でも、いつも入ってるわけじゃないんですよね?異界だから電気代とかかからないし」
「ええ、まあ。俺はいつもこの家に帰ってきてる訳じゃありませんから。気にいってもらえたのなら何より、ですけど」
「いいなあ、あそこ。なんというか肩こりみたいな物が無くなっていくし。何より、気持ちいんですよねえ」
「そうそう。あれで全然使ってないだなんて勿体なさ過ぎですよね!」
「確かに。まあ、この家に戻ったら存分に使わせてもらうよ。今から楽しみになってきたなあ」
「明美ちゃん、ずるーい!私ももっと入りたーい!」
なんじゃここは……。面倒だな、と思いつつも何も言わずに黙って俺は紅茶を飲んでいた。空になったんで俺がティーカップを片付けようとすると、真由美さんが話しかけてきた。
「あの、その紅茶私ももらっていいですか?」
「え?別に構いませんが、ちょっと待ってもらってもいいですか?」
「構いませんけど……何かあるんですか?」
「いや、単純に淹れる時間が欲しいというだけなんですが……」
「なにそれ!私も欲しい!」
「頼みますから落ち着いて下さい。一花さん、完全にキャラ崩壊を起こしてますよ」
「別にいいじゃん。だからほら、早くー」
「はいはい。三橋さんもいります?」
「うん。それじゃあお願いしようかな」
この後紅茶を淹れて俺は二木さんと一緒に風呂に入った。上がって五人と合流すると、置いといた酒を開けたらしく、完全にできあがっていた。この四人に絡まれつつ、俺と二木さんは騒がしい夜を過ごした。
おそらく本日最後のUPです。明日から二日目などを書いていきます。それではできればまたしたお会いしましょう。では(>_<)/