Aブロック終了
本戦の最終試合は明美とナルジア・へクセン君だった。
「妹君だったっけ?あの子」
「ああ。まあ、相手の力量を見る限り大丈夫だろ」
「あれ?結構余裕だね。っていうか相手の子の試合、見てたの?」
「うんにゃ、見てねえよ。でもわかるよ。ちゃんと視てれば、な」
「なるほど。彼の覇気を見ていた、と」
まあ、そうでなくても実力が伴っていないのはわかる。いや、ここに残るぐらいだから強いんだろうけど、明美と同等とはいえない。
明美は試合開始と同時に攻め立てた。ナルジア君は槍使いらしく明美の剣戟の全てを辛くも凌いでいる、という状態だった。ありゃあ、長くは持たないな。
「あ、吹き飛ばされた。残念だったね。昨日の疲労が取れてないのかな?」
「そうだとしても負けてちゃ話にならねえだろ。っていうかほんとにあいつ戻ってくるのか?
今日あいつの出番が無いのひょっとして忘れてんじゃねえの?」
「ありえるありえる。でも、別に問題無いんじゃない?残らなきゃいけない、なんて取り決めは無いんだから」
「それを考えると、俺らはよほどの暇人だよな。ずっとこんなところに残ってるんだからさ」
「別にいいんじゃない?そのぶん面白い試合も見れたし±0ってことで」
「ん?試合終了の笛がならないぞ。何やってるんだ……って、え?」
なんと試合はまだ続いていた。ダガーを二本持って明美と打ち合っていた。その剣捌きは素晴らしく美しい、の一言に尽きた。でも……。
「ただ綺麗なだけだ。実力は変わらないな」
「うん。それよりは彼女の剣舞のほうが綺麗だし。全体的に負けてるよね」
「ああ。最後にあいつの剣舞を見たのは一年も前だけど……やっぱり綺麗になってる。あんだけ綺麗だとはな」
「妹さんが成長した姿はどう?」
「あいつは俺や母さん達の誇りだ。よかったな、と思うさ。あの時あいつを千葉家に預けたのは間違いじゃなかったんだ、と思うよ」
最後は側頭部に蹴りが入って相手が気絶して試合終了。あいつが笑顔で手を振っている姿を見ながら、これまでの色々な事を振り返っていた。
あれから五年、いろんな事があったけどここまで来た。それは無駄じゃなかったんだと思う。俺はもっともっと強くなる。俺の身の周りの人ぐらいは、守れるようになるために。
そう決意を改めながら、俺は自慢してくる明美を連れて家に帰った。
はい本日三番目のUPでした。楽しんでもらえていますか?それでは次の話を書こうと思います。では。
あ、祢々切丸はジャ〇プの某作品の影響で出したわけではありません。あしからず。