模擬戦の後
模擬戦も終わり、俺たちはなぜか最上階の真由美さんの部屋に招かれていた。……何故?
「申し訳ない。お嬢様も手加減無しで挑みにかかりましたからな。これだけの傷を負う者も珍しいだろうと言えるぐらいの傷を負ってますよ」
「なんかいろんな所が痛いですから。肋骨が一本ぐらい折れてるか、ひびが入ってますね、これ」
「うっ!……すいません。ちょっと暑くなりすぎてしまって……」
「それはもういいですよ。あなたの強さもよくわかりましたし。あなたの剣筋は我流にしては洗練されているが、流派にしては粗すぎる。あなたの剣はあなた自身が作り上げた物なんでしょう?」
「はい。向こうでは趣味としてレイピアを習っていたんですが、学んでいく内に自分で技を作り上げてみたい、と思うようになったんです。それのほぼ全てをあなたにぶつけてみました。どうでしたか?」
「確かに強い。ですがやはり魔術が使えないというのはまずすぎます。おそらくあなたが魔術を使えないのは、無意識の内に魔力を聖属性に変換して垂れ流しているからです。だから必要な魔力が足りないんです」
「へ?私の魔力って垂れ流しの状態なんですか?」
「ええ。無意識下で行われてるせいで気づかないんでしょうね。そうですね……水門をイメージして下さい。魔力の運用というのは全てイメージで賄われていますから。次に垂れ流しの状態になっているそれを閉めて水を止めるイメージをして下さい。……はい、オッケーです。垂れ流しは止まってます」
「これで魔力が溜まっていくんですか?」
「そうですね。でも、そうそう全快になることはあり得ない。回復が早い人でもそうですね、大体三日程度かかります。あ、これはフェンリル所属の魔術師の基準ですから。
まあ全体量がわからないと、どうしようもないんですけどね?真由美さんは魔力の内包量とその回復速度は一線を介していると思いますけどね」
彼女は魔力をほぼ垂れ流し状態で過ごしているのにも拘らず、普通に生活している。魔力が枯渇すると、吐き気や嘔吐感に襲われる物だから彼女の魔力総量は計り知れない。
やっぱり純血種としての力が作用しているのかな?俺もフェンリル所属の魔術師の大体二十倍ぐらいあるって言われたし。
「それじゃあ、俺たちはこの辺で戻らせてもらいますね。卓也、月花行くぞ」
「「ういーす。了解」」
「え!?まだ傷は治りきっていませんよ!?」
「大丈夫ですよ。俺の力は少々特殊ですから。それでは失礼します」
俺達は真由美さんの部屋を出た後、卓也と月花は夕食を食べに行くと言っていたが、俺は辞退しては部屋に戻りベッドにぶっ倒れた。
今回の特務は色々あったな。まさかサルジストの純血種と会うことになるとは。ま、なんにせよめちゃくちゃ眠い。さっさと……寝ると……しよう……。そして俺は眠りについた。
連続投稿第四段!残念ながらもう日は超えてしまったが大丈夫!まだぎりぎりセーフだ!それじゃ、また今度!(>_<)/