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白銀の鎧と黄金の剣  作者: あかつきいろ
~過去語り編~
129/137

なんでこんな目に……

「痛たた……っ。あの爺、容赦なくやりやがった」


 俺は他の連中が牡丹鍋で盛り上がっている傍らで、日本酒を飲みながらその騒ぎを眺めていた。はあ、喧しいな……。


「おい、そりゃ俺が大事に育てた肉だぞ!」

「はっ!知るかよ!この世は弱肉強食、先手必勝!取った者勝ちだろ!」


 あらら。酒が入った所為でかなりヒートアップしてるな。俺はこっちに飛び火しないようにその場を離れようとした――――


「やかましいぞ、馬鹿ども!たかが肉の一枚や二枚でぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃねえ!」


 こういう時のリーダーシップはさすがに凄まじいんだが……。


「そういう爺さんが一番肉を食ってるじゃないか!」

「ああん!?この老い先短いかもしれない爺が肉をたらふく食って何が悪い!」

「老い先が短いなら、そんなに酒をがばがば飲むなよ!?あんたもう一升瓶換算で何本飲んでるんだよ!?それこそ浴びるほど飲んでるだろ!」


「あんまり文句ばっかいってると黙らすぞ!」


 もはや言い訳するのにも飽きたな、あの爺……。実力行使に出だしたよ。そこに救世主?が現れた。


「もう!お祖父ちゃん、いい加減にして!」

「なんだ、明美?何か文句があるのか?」

「喧嘩しないでよ!何のために鍋にしてると思ってるの!?」

「そりゃオメエ。料理が簡単だからだろ?」

「みんなで仲良く食べるために決まってるでしょ!それとそこの二人!水で顔を洗ってきなさい!顔が真っ赤じゃない!」

「「は、はい……」」


 おお、あの騒動をたった一人で納めちまった。さすがだな……そんな事を思っていた俺が甘かった。明美がこっちに来た。


「よう、お疲れさん」

「もう、兄さんならあれぐらい止められたでしょ?」

「面倒だろ。さっきあの爺にやられたからな。まだ体が心許ないしな」

「また?まあいいけど。兄さんも料理手伝ってよ。人手が足りないんだよ」

「何言ってんだよ。こういう時、女性の手料理だから喜んでんだろ?そこに男の俺が入ってどうする」


「分かってないね。兄さんの料理は何時だって盛況なんだから!ほら、早く来る!」


「ちょ!?お前、止めろって!」


 俺はなぜか男どもにもはや殺さんばかりの視線を向けられた。俺が一体何をしたって言うんだ!?しかも俺が料理を作って出したら、喜んで食いやがるし。


 その所為で大量に作らせる羽目になった。なんでまったりと酒でも飲みながら過ごそうと思ってたのに……こんな目にあってんだよ!

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