『観測者』と『神』
「あの時は面倒だったね」
「真祖の奴らは俺と再戦しようとしてたからな。特に『第一』と『第四』が」
「食事中にも挑もうとしてたよね。その時は拳でぶっ飛ばされてたけど」
俺達も食事を終え、談笑モードになっていた。といっても、そこまで思い出したくなるような思い出話なんかないんだがな……。
「そういえば、この後ってどうなってるの?」
「うん?なんの話?」
「だから。あんたがこの世界にいられる時間よ」
「そうさな……。午前零時までってところかな」
「意外に長いわね……」
なにがあったのかは分からないが、アーチノイズの方も勘付かれたってとこかな?『観測者』でも最上級に位置するとはいえ、あいつの上にも『観測者』は存在する。
まあ、いると入っても二、三人程度らしいが。それだけいれば十分とも言えるだろう。姉さんはそこの二番手の下にいるらしい。倒れている間に訊いた。
「それで訊きたいんだけど。『観測者』って何をする団体なわけ?」
「それ、名が体を表すって言っていいか?」
「駄目。観測するって言っても、何を観測するのよ?」
「そりゃ、『世界』をさ。より正確に言うなら、その世界に生きる生物を、だな」
「それは……」
「世界の外にいなきゃ出来ない作業だ。さらに上級まで行くと、世界に介入する事すらもできるらしい」
「たとえば?」
「『魔王』とか、かな?それで自分の管理する世界から『勇者』やら『英雄』を引っ張り込んでくるのさ。……迷惑な物だ」
ぶっちゃけこの話を聞いた時、嫌悪感を覚えたね。自分たちの都合の為に人を利用するその心構えが許せない。元人間のくせに。
「でも、たまにあるらしい。『滅び』を乗り越える場合が。その場合は、自然消滅するのを待ってからまた新しく生命を始めるらしい」
「そんなの待ってられるの?」
「そりゃ、あいつらは老いて死ぬ事が無いからな。でも、あの世界にあいつらを殺せる存在なんかいない。それにあの世界にも『神』は存在するらしい」
「……どういう事?」
「『神』は自分自身が創りだした『原初』の世界にしか興味が無いんだと」
「身勝手な物だね」
「そうだな」
さあて、この後にも色々としなきゃいけない事があるな。取り敢えず――――
「この器を片付けるとしよう……」
パーティーじみていた所為で、めちゃくちゃ散らかっている。今更だけど、やり過ぎた。