真祖と対面
「真祖ってのは王様かなんかなのか?」
「いえ、『神』の呪いを受け不老不死になってしまった者、とされています。言わせてもらえるのなら、誰にも分からないんですよね」
「分からない?真祖自身にも?」
「いえ、真祖様方はそんな事は些事だ。といって考える気が無いんですよ。ですから、誰にも分からないんです」
「厄介だな。……それで、謁見の間ってここか?」
俺達はでかい扉の前に立っていた。こんな物を見るのは何時ぶりだろう?確か、前にファンタジーチックな世界に行った時以来かな?
「ええ。この先には『第一真祖』様がいらっしゃいます」
「え?その口ぶりだと他にも真祖がいるみたいだけど?」
「はい。他には『第二真祖』様、『第三真祖』様。そして噂レベルですけど『第四真祖』様も。まあ、こちらは存在があまり確認されないので分かりませんが」
第四まで真祖がいるのか……これは今回は骨が折れそうだな。というか、こっちに向けて敵意みたいな物がビンビン伝わってくるんだけど。
フレンは気づいていないのか?というか、さらにこの扉の向こうには四人位気配がするんだけど。これひょっとして全員真祖とかいうオチじゃないだろうな?
「それでは粗相の無いように」
俺が部屋に入るといきなり電撃が飛んできた。もちろん『最終元素』で打ち消してやったけど。
「いきなりじゃねえか。喧嘩売ってんのか?」
「クククッ。あの不意打ちに対応するとはな。そこまで睨むでない。『第四』」
「でもお爺さん!」
「お爺さんと呼ぶな。それで貴様は何の用で来たのだ?」
「俺は頼まれたから来ただけだ。そんな事よりも謝罪も無しか。このクソ爺」
「……言ってくれるではないか。様子見だけにしようかと考えたが……ここで潰すか」
「やれるものならやってみろ。ご老体に負けるほど、俺は弱かねえぞ?」
俺は殺気、というか闘氣みたいな物の塊をぶつけた。憤怒に歪んでいた顔が、一瞬驚きに変わりそこから戦闘狂が強敵とあった。そんな表情を浮かべた。
「これはこれは。中々面白そうだな」
「お爺さん、ズルい!私だって戦ってみたいのに!」
「別に構いませんよ?他の二人も参加して下さって結構です。俺はそれでも負けませんから」
「……言ってくれますね。真祖四人を同時に相手しても負けない自信があるとは」
「事実ですからね」
俺は白銀の鎧を纏い、臨戦態勢に入った。