突然の質問
「あの、何かご用でしょうか?」
「……あの病はどうやって治療したんですか?対策だって出来ていないのに」
「あれは『治療』じゃ無い。ただの『消去』だ」
「?仰っている意味が」
「だから。あれは一時的に病の発症を抑えただけ。また発症する可能性は、零じゃ無い。大体、あれに治療法なんかあるのか?」
「!?あ、貴方は一体何を知っていらっしゃるんですか!?」
「あれは、今まで吸ってきた血によって発症する病だろ?遺伝子と遺伝子が重なり過ぎたんじゃねえの?或いは粗悪な血でも飲んだか……だな」
「そ、それは大発見だ!早く議会に発表しないと!」
「その前に。あんた誰だよ?」
さっきから驚いたり何だりと好き勝手にやり過ぎだろ?せめて自己紹介してから去れっての。
「あ、申し遅れました。私は医療学会の一人で、フレン・デズベルトと申します」
「ふーん。ま、好きにすればいいんじゃない?俺は好き勝手に歩くだけだし」
「私たちは慎也について行くだけだしね?」
「あの、できれば真祖の方々と会って頂きたいのですが……」
「あんた、医療学会の人間なんだろ?それなのに、どうして真祖の謁見許可を持ってるんだ?」
「いえ、こう見えて私は吸血鬼です。それに、私は『長老』ですからね」
「……何百年と生きているような奴には見えないんだが?せいぜい数十年程度を生きてきた奴にしか見えない」
「これでも一応は貴族なんですけどねえ。ま、貫録が無いのは認めますよ。とにかく、会って頂けませんか?」
「偉そうにしてりゃいいのに。そういう下からな所が見られない要因でしょう?」
「それはそうなんでしょうけど……」
「行きますとも。俺は会うのも目的の一つですからね」
「あ、ありがとうございます!」
俺達は、フレンの後ろをついて回った。え?今更だから呼び捨てでお願いします、って言われたからね。呼び捨てなの。
そんな俺達が歩いて行った先は……これまた王宮みたいな場所でした。