過去話の始まり
俺は明美にも怒られた後、二人と約束させられた。『最後の時までは一緒にいる』という約束を。最後の願いぐらいは叶えたいと思ったから、俺はそれを了承した。
「とはいえ、深夜零時だっけ?それまでどうするの?」
「ん~、特に何も考えてない。何をしてもいいんだけど……。過去話でもしてやろうか?」
「いいですね!それ!……それじゃあ、花蓮と慎也の出会い話を。どうぞ!」
「どうぞって……お前なあ」
「それ結構簡単に話せる話じゃないんだけど?」
「へ?何でですか?」
「なんせ最初にあったのが戦場だからな。しかも、俺も花蓮も敵同士。それに俺は神喰狼に身体の制御を奪われてたし」
「それに、そこまで語らせるほどの話じゃないわよ?その後だって、私が入院してた慎也にお見舞いしたことが数回ある程度だし」
「それは……なんというか」
「語りづらいんだよ」
あの時の事は思い出そうと思えば、思い出せるんだがな……。あんまり思い出そうと思えるほど愉快な話じゃないしな。
「それでもいいのか?」
「……構いません。というか、むしろなんで花蓮が慎也に惚れたのかを知りたいんです!」
「ええ?……それを今更語らせるの?二年も経った今になって?」
「勿論じゃないですか!寧ろこんな時期だからこそ、ですよ!」
「しゃあないな。悪いんだが、当時の事は花蓮が語ってくれ。その間に料理でもしておくから」
「ん。分かったわ。それじゃ、とびっきり美味しい料理を用意してね」
「了解。それじゃ、任せた」
俺は研究所に移しておいた材料を見て、一体何を作ろうか考え始めた。その間にか連は俺と、あいつが最初に出会い戦った時の事を語りだした。