不可解な乱入者
「創星光!」
俺は光を槍状にして、五発分放った。だけど、それは一般的に言う上級魔法の光系統三発分を凝縮させたものを五発分だ。
とはいえ、もちろん普通に魔術で盾を創りだして防がれたんだけど。やっぱり戻ったばっかりだから、威力調整が難しい。中々威力が出ない。
「……この程度なの?」
「んなわけないだろ!?原初白炎!」
俺の手から強烈な、それこそ「ニブルヘイム」とは対極に位置する術である「ムスペルヘイム」と同等ぐらいの炎を。これでもまだ全力じゃないんだがな。大体六割ぐらい。
さすがにこれは受けきれないかと思ったのか、回避した。花蓮の戦闘スタイルは『不動』。けっして動かず、ただ絶対必中の槍を用いて相手を倒す。攻撃が来ても、総て魔術で防ぐ。
「……なんて火力なの?」
「これはまだまだ本気じゃないぜ?へばってくれるなよ!」
「もちろん!」
あ、無口キャラ止めたんだ。こいつは戦闘中にあんまりしゃべらないからそれもまた凄い有名な事なんだけど。
『慎也!』
「ん?どうかしたのか?」
『今、なんか凄いエネルギーが飛んできた!』
「はあ?色は?」
『それが……黄金なんだ』
「なんだと!?」
「汝は勝利を約束された剣なり」
「これは……祝詞か!?」
俺も花蓮も完全に動きが止まっていた。それほどに考えられない人物が、この戦場に来ようとしているからだ。
「全てを切り裂き、未来を掴むために」
「我が障害を切り開け!」
「<エクス・カリバー>!!!!」
張ってあった結界が脆く儚くも砕け散った。全てを切り裂く剣『エクスカリバー』の斬撃によって。
「ふう、やっと着いた」
「明美……どうして」
「私は、こういう形で『滅び』に関わらせてもらうよ。兄さん」
そこにいたのは、黄金の鎧をその身に纏い黄金の剣を振るう我が親愛なる妹だった。