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その男、神の眼につき part1.5  作者: ひさまた病
乙女たちの休日
8/18

船坂、イリス、ミシェルの場合

「お前等はアレだな。任務とは大違いだな。感覚が狂ってるのか?」

 呆れたように船坂が言った。

 まだ麻痺しているだとか、感覚のズレがあるだとか言いかえれば優しく聞こえるが、このくらいのキツさが彼女らにはちょうどいいと思えたが故である。

「いやはや、あたしは流石に言い訳できないわよ」

 たはは、と乾いた笑いを漏らして、アイリンはそっとコーヒーカップを口に運んだ。

「私自身も、アレを着ていたことに何の疑問を抱かなかった時点で……」

 エミリアはテーブルに額を当ててうなだれる。

 そんな彼女らは、降車駅構内のファミレスで反省会を行っていた。

 もちろん、服装は機関からの転送によって私服に着替えられていて、視覚的にようやく落ち着きを取り戻したところである

「でも船坂さんも気付かなかったよね」

 サクラは運ばれてきたフライドポテトをつまみながら、流すように船坂を見る。彼はちょうど、タバコを咥えるも灰皿の不在に気づいてそれを箱に戻したところだった。

「あー……その点はそうだな」

「おっ、フナサカも罪を認めるの?」

 煽るようにアイリンが口にする。

 船坂は少しむっとした顔で、だけど仕方が無いように肩をすぼめた。

「面目ない」

「今日は仕方がなかったですよ。久しぶりにみんなでお出かけ出来たわけですし」

「そっ、そうです。ワクワクしちゃってたんですよ。たぶん」

 ミシェルとイリスが続いてフォローする。

 アンナは黙々とフライドポテトとメロンソーダを退屈しのぎにと口に往復させていた。

「にしてもだ。動物園に行く予定が、こんな所でどうするつもりなんだ」

 この新宿駅は魔境として名高い。

 看板に従っても目的の場所に移動できず、そして広大でありまた入り組んでいる構造のために外に出られずに、志半ばで諦めることもある。敢え無く駅構内での暮らしを余儀なくされる場合も多々あり、道の端で倒れている人や、白骨死体などが発見されるなどのジョークがネット上で飛び交う程、その程度は酷かった。

 そしてこの七人がここを訪れるのは恥ずかしながらも初めてだ。

 おとなしく、また電車に乗って移動すれば良いのだ、と船坂が密かに心のなかで祈っていた。

 彼の趣味はネットサーフィンと銃器の手入れ、トレーニングである。タバコの銘柄を集めようと思ったこともあるが、途中で面倒になって挫折したこともあった。

 そのネットサーフィンで、以前掲示板で耳にしたというか、見たのがこの新宿駅は魔境という書き込みだった。そして駅構内図を見た限りだと、まるでロールプレイングゲームのダンジョンのようだと思えていた。

 まさかここに来ることはないだろうと思っていたが――世界遺産を前にするのとは少し違う、まさかここに来る羽目ことになるとは、という妙な感動を彼は覚えていた。

「まあぶっちゃけた話をすると、遊び目的半分ってところだしねぇ」

「ん、どういう事だ?」

 アイリンの漏らした言葉に、過敏にエミリアが反応する。

「協会の連中は機関の本部がある地域に集まりやすい傾向がある……というか、探しに来てるのね。私たちはとりあえず繁華街に出て別行動、そして目ぼしい協会の能力者を見つけて、活動拠点を発見――ってトコまでが、今回の目的」

「ほう、ならなぜ行動範囲が確実に限定される動物園を選んだんだ?」

 今度は船坂が訊ねる。

 アイリンは肩をすくめて、首を振った。

「特に理由はないわよ。どちらにせよ、そういった任務でここに寄越したらみんなヘンに緊張して協会に察される可能性もあったし」

 現在ではそれぞれの衣服の下にホルスターが備えられ、護衛用に拳銃を仕込まれている。加えて予備弾倉も、念のためにと二つほど渡されていた。

 七人はみんな通信端末を携帯し、周囲に溶けこむような一般的な恰好のままで辺りを散策する事になる。

 彼女は適当にそこまでを説明して、軽く手を叩いた。

「ならメンバー分けをして、ここでお昼を食べてから解散ということで良いかしら?」


「適当に遊びながらでもいいから……ってらしいですけど」

 ミシェルが不安気に肩を落とす。

 その隣にはイリスが少し怯えた様子で、共に大勢が往来する通りを歩いていた。

 通信端末のガイド機能のお陰でなんとか駅構内から出られたものの、特に目的の場所も無く外を歩くのは彼女らにとってはひどく久しいことだったから、不安であり、またぎこちなく、どうすればいいのか戸惑っていた。

 その姿はまるで右も左もわからない田舎者だが、その外見から外国人旅行者に見えるのが幸いだろう。

「適当に行きゃいいんだよ」

 そんな彼女らの背後に立つのは船坂だ。

 何よりも曖昧で戦闘面でも不安が募る彼女らに追随するのは、殆ど当たり前であるような分け方だった。

 残りは戦闘能力の面で考えて、衣服の下に肉体強化の耐時スーツと呼ばれる特殊な装備である、専用の帯を巻きつけたアンナに、自動拳銃を備えるサクラ。言わずもがな、戦闘能力の水準が極めて高いエミリアと、アイリンという組み合わせになっていた。

「適当って言っても、ですね……」

「わ、私こう言う所初めてだから、緊張しちゃいます」

 萎縮するイリスはミシェルの腕に抱きついた。

 こうしてみればまるで微笑ましい姉妹のようだ、と船坂は思う。ただ外見が深窓の令嬢に見えてしまうのは、良いのか悪いのか、正直分からなかったが。

「でも実際、たまの休みにこういうのもいいですよね?」

 ミシェルが遠慮がちに振り向きながら言ってみた。

 確かに、たまに、ごく稀にならばこんなのも悪くはないだろう。

 もっとも、その時はその時で全てを時衛士に投げて、船坂自身は己の休暇を堪能することになるだろうが。

 彼女らはかくして、大型のパソコンショップ・家電量販店の前にやってきたのである。

「あ、そういえばあの新作まだあるかなあ……?」

 ミシェルが思いついたように漏らすと、イリスはその頭上に疑問符でも浮かべるような表情を作った。

 それを見て、彼女は桜色に染めた頬に指をさして、どう説明しようかと考える。それから少し恥ずかしそうに、腕から離れたイリスへと告げた。

「実は、結構シリーズで出てるゲームを初代からプレイしててですね、最近忙しい中で、なんだか新作が出たらしいんですけど、中々ゲームショップ行く時間もなかったし」

 地下は食物関連は全て自給自足で成り立っている。衣服もデザイナーがいるし、工場もあるから特に不便はない。またその素材を作ることも可能である。電気機器や部品なども自作できる上に、地上で流通しているものより高性能であるソレらがあるから、心配は不要だった。

 が、漫画やゲーム、また小説など。それらの娯楽品の全ては地上からの輸入だ。仕入れは機関が独自に流通機構を制作しており、流れてきているのだが、地下空間には車がない。電車もない。

 あるとすれば自転車だけであり、新聞を購読するという習慣が無いように、通信販売を行って配達されるという事は、こと地下空間ではありえなかった。

 テレビやラジオならば、全世界の番組を視聴することが可能だ。だから問題はないし、ドラマや映画、アニメの『光ディスク』も同様に流通している。が、それを購入するには商店へ赴かなければならない。

 クレジットカード払いで自宅へ、あるいは最寄りのコンビニに発売日に輸送などという利便性の高い事はなぜだか出来無い地下だからこそ、現在のミシェルのような状況が成り立っていた。

 もっとも、仮に出来ていたとしてもゲームをプレイする時間はなかったのだろうが。

「多分まだありますよ。いつ頃出たんですか?」

「ろ、六月くらい……かな?」

「なら大丈夫ですよっ、行きましょう!」

 疑問を漏らして店に寄る要因となった彼女より張り切って興奮し、鼻息を荒くする少女はさっさと自動ドアが開き切るよりも早く、その隙間をするりと滑るようにして中に入っていった。

 船坂とミシェルは、思いもしなかったその活発さに少しばかりあっけに取られながらも、苦笑し、まるで子供を見守るように肩をすくめてその後をついていった。


「あっと、どこに行ったんだろう……?」

 イリスの後を追うつもりでゲームコーナーまで来た二人だが、彼女の姿は入店時には既に見失っていた。だからここに居るだろうと思っていたのだが……。

「迷子か?」

 呆れたように船坂が苦笑し、ポケットからタバコを取り出した。

「だ、だめですよ。店内は、タバコ」

「あー、ん、面倒くせえ」

 タバコを箱に戻し、船坂はまたコートのポケットに手を突っ込んだ。

 しかし迷子と言っても、もう十五、六の娘である。既に高等学校への入学を果たしていよう年齢の娘が、いまさらになって迷子になるとは誰も思わないだろう。

 ならば別行動故に高くなる危険に飲まれたのか? 誰かに絡まれた、という考えも生まれなくはない。

「どうしよう、私、この店あんまり知らないのに……」

「はぐれたのは確実か。だが自分が迷子になった事を自覚しているのかはわからんがな」

「私、探してきます!」

「あいつだって通信端末持ってんだ。連絡くらい入れられるだろ?」

「でも、初めてで知らない場所で、知らない人たちばっかりだと不安で怖くて、頭が回らないですよ。あの歳の子ならなおさらに……私、わかるんです。あの子とは、なんだか似てるから」

「……ったく」

 心底面倒そうに彼は嘆息する。

 だが彼女がそこまで言うのなら仕方が無いことだろう。

 アイリンから告げられた任務は、本来の目的場所から大きく離れたこの街で行われている。そんな粗雑に思える現状からは考えられぬほどに任務概要は割合に重要なものだが、殆どあって無いようなものと考えれば良いだろう。

 なんたって、付焼刃スケアクロウと一般人など、能力を使用してくれなければ見分けがつかないのだから。

「仕方ない。ならミシェル」

「はいっ!」

 目で合図すると、彼女は元気よく返事をする。

 かくして船坂は、ミシェルと背中合わせになってからその場を離れていった。

 ――彼が向かったのは、一階の一画。パソコンコーナーであるが、メーカーパソコンがただ陳列されている場所ではない。

 無数にある台にはそれぞれ無数にパソコンが並び、また棚にはケーブル類からAV機器、周辺機器からCPUやビデオカード、マザーボードからメモリやらの部品パーツも豊富に揃えられている。だからこそ、割合にコーナーは広かった。

 そして多くの客で、そこは溢れかえっている。

 機械系に強そうなヒョロ長の男。同様の肥満男。そしておそらくカップルやら、サラリーマン風の姿も多い。そして散らばるように居る店員は、みんな客の対応に追われていて、見るだけで忙しいのがよくわかった。

 船坂は、やや広めの通りを歩きながら左右に首をキョロキョロを回す。商品が陳列してある棚に挟まれるようにして出来る路地の中に、ひときわ小柄な少女の姿を探しているからだ。

 しかしくまなく探してみても、目的の姿はない。

 ならば二階、あるいは三階だろうか。五階建てのこの店の中、動きまわる標的を見つけるのは至難だ。そのうえ、着信に気づいていないのか、通信にも気付かないと来ている。

 これは本格的に困ったものだ――と、思わず天井を仰いだ所で彼は、妙なものを見つけた。

 『PCゲームはこちらです』と丁寧に矢印で行き先を示す、縁を桃色に塗る看板は、天井からぶら下がっている。そして、その矢印の先は、入り口にほど近い場所にある下りのエスカレーター。地下に向かう道である。

 背筋にぞくりと、悪寒が走る。

 嫌な予感がした。

 日本のPCゲームは主にアドベンチャーゲーム方面が異様なまで発達していて、外国にはそれ故にある種の畏敬を抱かれている。そしてその多くはアダルティーなものだった。

 まだ十五、六の娘には刺激が強すぎるだろう。そのためのレーティング、R-18なのだ。

「いや、まさかな……」

 しかもイリスは日本のことについてはそう詳しくはない。

 ”ゲーム”という単一の情報から探し当てたあの看板に従うのはごく当然なのかもしれない。

「ええい、南無三!」

 妙なトラウマを抱えていない事を祈りながら、船坂は慌てた様子でエスカレーターへと急ぎ、その動く階段をかけ降りていった。


 イリスはただただ、困惑していた。

 入り口から見えた『ゲームはこちら』との看板。颯爽と駆け降りていくエスカレーター。一本道の通路を道なりに歩いて見えた本屋。その先のゲームショップ。

 そこは、どことなく汗臭いのが気になった。

 店に入る前、その壁には幾枚かのポスターが貼られている。どれもが可愛らしい女の子が前面に出ている絵ばかりだ。おそらくこれから発売する予定で、さらに注目されている作品なのだろう。

 入り口の防犯ゲートを抜けると、まず目の前には台があった。山積みされる無数の箱。表紙は、ポスターと同様の可愛らしい女の子が描かれていたが、されど割合にその多くが――豊満な乳房を丸出しにしたり、身体中に白い液体を塗りたくられた姿があらわになるものばかりだった。

 破廉恥だ。

 まずそう思って、その後に頭の中が真っ白になった。

 恥ずかしい。来る場所を間違えてしまったのだろうか。

 頬が熱くなる。顔が、耳まで真っ赤になってしまうのが自分でもよくわかった。

 胸が高鳴り、その上で、妙な視線を受けていた。

 緊張する。何か分からないが、恐ろしいものを感じて恐る恐る硬直する顔を起こしてみると、そのやや広めに仕切られた店内に居る客の何人かがチラチラと自身に眼を向けるのが確認できた。

 ――なんだろう。服のセンスがあるというわけでもないが、特筆してヘンだと言うような恰好をしているわけでもないのに……。顔に何かついているのだろうかとも思ったが、駅からここまではそう離れては居ない。ファミレスを出る前にトイレで良く身なりを確認したから、何かあるはずはないのだが。

 いわれのない注目を受けて、彼女は新作の陳列棚、店に入って直ぐの所でカチコチに固まってしまっていた。

 なんにしてもここは違う。

 だがどうしてだろうか、まるで初めて実戦に出た時のように、妙な緊張感で身体が動かなくなっていた。

 イリスはうつむいて、襟元に顔を埋める。手を前に組んで、精一杯に身を縮こめた。

 後ろからついてくる筈のミシェルも、船坂も待てども待てども来ない。

 そうだ、と思って通信端末を手にとって見る。デスクトップ画面を表示させると――通信状態は非常に悪かった。言わば圏外。通信端末としての役割を一切果たしていなかった。

 まさか、地下だからか。とことん選択を間違えてしまった。

 彼女はその湿っぽく、どこか酸っぱい臭いのする店から出ようと、ガチガチに固まる関節を精一杯動かして、回れ右をした。

「え……っ?」

 途端に現れた強い気配。

 目の前に聳える黒い影。巨体。コートに身を包んだ、大きな人影。

 呼吸を乱しているのか、はぁはぁと肩を上下させている。興奮しているようにも見えた。

 それを前にして、身体がすくんだ。この上ない恐怖が体の中をかけめぐっていく。膝が震え、焦点が定まらない。

 どうしよう、という言葉だけが頭の中で繰り返されて――。

 まるで壁のように立ちはだかるソレが手を伸ばす。電柱のような太さを持つそれは、圧倒的な存在感と共にイリスの腕を、強引に掴み上げた。

「っ?!」

 肉体が硬化してしまったように、動かない。咄嗟に振り払おうと思っていたのに、身体が言うことを訊いてくれなかった。

 声が出ない。イリスという個体はまるまる恐怖に飲み込まれていた。

「――なにをビビってんだ。この数分間で記憶喪失にでもなっちまったのか?」

 威厳を孕む、低い声が耳に届いた。

 聞き覚えのある、安心感を与えてくれるソレだった。

 ふと、顔を上げる。なめらかな動作は、ただそれだけの声掛けで身体が恐怖から解き放たれたが故だろうか。

「え……ふ、フナサカさん……?」

 プロレスラーのような頑強な肉体。壁のような巨体。その上には、仏頂面の中に垣間見える優しさを持つ顔があった。

 側頭部の髪を刈り上げたような髪型。顔には深く刻まれたほうれい線が、彼の苦労を教えるようだった。

「え? じゃない。ったく、これが店ん中だったから良かったものだがな。街だったらもっと長い間はぐれていたかも知れんぞ?」

 彼は言いながら、腕を掴む力をぎゅっと一度だけ強くする。

 真っ赤で不安げな顔だったのに、途端に破顔してイリスは今にも泣き出しそうな程に目を細めた。

 次いでやってくる、安堵の溜息。

 彼女は船坂の掴む手を一旦離して、それからその小さな手で彼の手を繋いだ。

「でもでも、フナサカさんは見つけてくれるんですよね?」

 店を出て、近くにある上りのエスカレーターへと向かう。先にイリスが乗り、後に船坂が着く形でソレに足を踏み出した。

「どうだろうな」

 地上に近づく。船坂はその中で、自身の通信端末を睨みつけていた。

 表示させるのは通信状況。

 先ほどは焦っていたから良く確認していなかったからかもしれない。だが妙な違和感を覚えたのは間違いなかった。

 だから画面を見つめていた。

 二十秒ほどをかけてゆっくりと、やがて地上でエスカレーターが終わる。

 船坂が降りて、イリスは笑顔で傍らに待機した。これではまるで親子か何かのようだと思いながら――深く嘆息する。

 通信状態は未だ圏外。

 地下だったから通信が出来なかったというわけではないようだ。

 何かがおかしい。

 この端末をバックアップしているのは空の上にある人工衛星からの情報の転送だ。その操作は地下空間ジオフロントの機関が行っている。地下空間とどのような繋がりで衛星が繋がっているかは分からないが――民間企業ではないのだ。このような不具合が起こるはずがない。

 ならば、意図的に電波を遮断する機構が、今この時に働いているのではないか?

「はっ、アイリンもあながち節穴でもないようだな」

 協会の活動拠点を見つけろとの任務。

 それを模索する中での、通信遮断。

 戦力が分断されている現状。

 考えなくても分かるのは、どうやら探すまでもなく誘われているという事だった。

 一体どうやってこちらの行動を知っているんだか。船坂は嘆息混じりに言って、イリスの手を引きながら家電コーナーへと向かう。ひとまずミシェルと合流し、外へ出よう。適当な場所まで移動すれば敵も仕掛けてくる筈だ。

「イリス」

「あ、はい?」

「良く見てろよ」

 また疑問符を浮かべる彼女の顔に苦笑しながら、船坂は握りつぶせそうな程に小さな頭を、その大きな手のひらで優しく、されどぎこちなく撫でた。

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