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俺のスキルはステルス!  作者: 二代目なめこ


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#5 初めてのクエスト

すっかり日がくれ、俺たちは城下町の宿屋に泊まることにした。だが...


「申し訳ございません、空いているお部屋が一つのみとなっております」

「「ええ!?」」

なんとその一部屋意外全て客でいっぱいなのだった。

「背に腹はかえられないわね...その部屋でお願いするわ」

「お、おい!ちょっとシニア!?」

「仕方ないでしょー?空いてないものは空いてないんだから...それとも今からまた別の宿屋を探しに行く?」

「ぐっ...」


宿屋の窓から真っ暗な外の様子が見え、俺は渋々承諾した。今から宿を探すとなるとまた少し歩く羽目になる。今日あった出来事に翻弄され続けていた俺には、もうそんな体力も残されていなかった。


宿屋の店主から部屋の鍵をもらい、俺は備え付けのソファーに沈みこんだ。はぁ〜と安堵のため息が漏れる。

「今日は相当疲れたんじゃない?」

ベットに腰掛けたシニアが口を開いた。

「あぁ...いきなり異世界に転……じゃなくて記憶喪失のままモンスターに襲われて、シニアに会って、山盛りのスパゲティ食って、冒険者登録をして、初期装備を揃えて...……正直もうヘロヘロだぜ...」

あははっとシニアが軽く笑い飛ばす。

「でも楽しかったわよね」

「違いない」

「こんな美少女とデートしたんだから当然よ」

「自分で言うか?それ」

またもやシニアが笑う。それにつられて俺も笑った。

「明日はギルドのクエストを軽くこなしてみましょうか」

「そうだな、早くランク上げて借金返済しねぇと」

「それ本気にしてたの?冗談に決まってるじゃなーい!変なとこで生真面目ね、ハヤタは」

「……明日も早いし、もう寝るぞ」

「何拗ねてんのよ〜」

「拗ねてない…おやすみシニア」

「あ、ちょっと!もぉ〜〜」

そんなシニアを背に、俺は疲労感に任せて泥のように眠った。


翌日、俺たちは依頼を受けるために冒険者ギルドへ赴いていた。

「Fランクの依頼ってありますか?」

「はい、ございますよ。」

そう言って受付嬢のマリーは3枚の依頼書を取り出した。ふむふむ…薬草採取、ボールワーム五体討伐、猫探しの3つか。んー…疾風(ハヤテ)の試し斬りもしてみてえし、ここは討伐依頼にすっかな。

「このボールワーム討伐クエストにします。」

「承知いたしました。では気をつけて行ってらっしゃいませ!」

笑顔で見送るマリーに軽く会釈をし、俺とシニアは依頼書に書かれた樹海へと向かった。



王都を出て1時間ほど歩くと、目的地の樹海へ到着した。確か依頼書によると…繁殖期に増えすぎたボールワームを討伐して欲しい...と。なるほど、この世界にも大量発生とかあるんだな。てか、ボールワームって一体どんな魔物なんだ?ボールの虫?玉虫のことか?まぁいいや、遭遇したらシニアが教えてくれるだろ...


「行こうシニア」

「ええ、援護は任せて」

樹海の中を少し進むと何やら黒い影がモゾモゾと蠢いている。

「おいシニア、あの黒いのなんだ?」

「あれがボールワームよ...あー気持ち悪っ!」

結構見た目がグロい魔物なのか?

「とにかく近づいてみよう」

「……えぇ」


50メートル、40メートルとどんどんボールワームの大群に接近していく。そして肉眼ではっきりと目視できるようになった時...


「ってでっけえダンゴムシじゃねぇか!!」

「しっ!大きな声出さないの!もし聞こえて一斉に襲いかかられたらどうするのよ!」

そこには体長約60センチほどの大きなダンゴムシらしき魔物が群れをなしていた。なるほど、シニアが言う通り数が多いと気持ち悪いな...


「ボールワームは装甲が硬いから、裏返して内臓を攻撃するの」

「分かった」

「それと、一体一体は強くないけど集団になると話は別よ あとアイツらの血液は微弱な酸性だから気をつけて」

シニアが説明し終えたタイミングで、群れの中の1匹がこちらの茂みへとやってきた。

「試しに練習してみましょ」


俺は腰に装備していた疾風(はやて)を抜いた。頼むぜ相棒!

やってきたボールワームを素早く裏返し、内臓を疾風(はやて)で切り割く。ボールワームは多少暴れたものの、次第に動かなくなった。よし、まずは1体目...その時だった。ボールワームの内臓から吹き出た酸性の体液が俺の額に直撃した。

「あちっ!あちちちち!おいシニア!これ全然弱酸じゃねぇぞ!?」

気づいた時にはもう遅かった。ボールワーム達が俺に向かって目を光らせている。あ...終わった...


「うわあああああああああああああああああ!」

俺は大群を背に全力疾走を始めた。五体だけ討伐なんて無理だろこれええええ!!

少し離れたところを並走するシニアが俺に向かって叫んだ。

「ハヤタ!!スキルスキル!!」

「あっ...そうだった」

逃げることに夢中で頭からすっかり抜けていた。うってつけのスキルがあるじゃねえか。


"透明化(ステルス)"発動!!


そう念じて道の脇に飛び込むと、ボールワームの列は勢いのまま直進していった。ふぅーあぶねぇ...初クエストでいきなりお陀仏するとこだった。異世界転生はしばらくごめんだぜ。

隙を見て駆け寄ってきたシニアが話しかけてきた。


「ほら〜言わんこっちゃない」

「いやいやいや!全然弱酸じゃなかったからな?あの体液!!」

俺の額はまだうっすら赤いままだ。

「酸性の攻撃ってのは、皮膚が溶けてから言うのよ。おでこをちょっと火傷しただけじゃない」

「......極論すぎんだろ...」

「とにかく、ボームワールをササッと片付けちゃいましょ?」

「そうだな」

俺たちは群れの跡を追い始めた...



ボールワームはそう遠くない場所にいた。


「準備はいい?ハヤタ」

「おう!今度は油断しねぇ」


"透明化(ステルス)"!!


姿を消した俺はゆっくりと獲物に歩み寄る。1番近くにいたボームワールに標的を定める。

裏返して...突き刺す!!

攻撃した奴からは適度に離れてっ...と。よし!この戦い方で間違いないはず。

同じ要領で群れを一掃していく。少し楽しくなってきた俺は、目標討伐数の五体を超えてもボールワームを倒し続けた。




どのくらいの時間が経っただろうか。辺りにはボールワームの死骸が大量に転がっていた。

しまった...やりすぎた...。日が傾いてきたし、そろそろ切り上げよう。

ふと振り向くと、シニアが死骸をバックに収納している。


「そのバック、なんでそんなに入るんだ?」

小さいバックにあれほど大量の死骸が収まりきるとは思えない。

「異空間にアイテムを収納できる魔道具なの。まさかこんなに入れるとは思ってなかったけどね...」

誰かさんのせいで、という視線が痛い。しかし便利なもんだ。魔法が使えない俺には大助かりな代物だ。今度魔導具屋に行ってみよう。

そんなことを考えているうちに、シニアはボールワームを収納し終えたようだ。


「さっ、ギルドへ行って換金するわよ」

「いくらになっかな〜」

「さぁね」


呆れた様子のシニアと共に、俺の初クエストは幕を閉じたのだった。


*


ゴソゴソッ、ゴソゴソッと蠢く赤い影が二人のすぐ後ろに連なっていた...

書き溜めが無くなったため、毎週木曜日に投稿します。ご了承ください。今回も読んでいただきありがとうございました。

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