詩小説へのはるかな道 第49話 愚者は未来を拓く
原詩: 愚者の栄光 ー 逆説の詩
剣を掲げる勇者は
竜を斬り、民を救う
その名は石に刻まれ
歌となり、風に乗る
だが、愚者はただ笑う
竜の影を知らず
石につまずき、転びながら
空を見上げて雲を追う
勇者は勝利を知る
愚者は敗北すら知らぬ
だからこそ、愚者の歩みは
終わりなき始まりに満ちている
勇者の物語は閉じられる
愚者の物語は開かれ続ける
世界は勇者に救われるが
未来は愚者に託される
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詩小説:愚者は未来を拓く
町の広場には、勇者の像が立っていた。
竜を倒し、民を救ったその姿は、剣を掲げたまま永遠に凍りついている。
人々はその前で祈りを捧げ、歌を歌い、子どもたちは憧れの眼差しを向ける。
勇者の物語は完成され、石に刻まれ、語り継がれていた。
その像の足元で、ひとりの愚者が転んでいた。
石につまずき、泥だらけになりながらも、彼は空を見上げて「雲が竜みたいだ」と笑った。
人々は彼を笑い者にしたが、その笑い声は広場に長く響き、祈りの歌よりも子どもたちの耳に残った。
勇者は勝利を知り、物語を終えた。
だが愚者は勝敗を知らず、歩みを止めない。
彼は竜の影を知らないまま、雲を追い続ける。
転んでは立ち上がり、立ち上がってはまた転ぶ。
その繰り返しの中で、彼の歩みはいつも新しい始まりに満ちていた。
ある日、愚者は広場の外へ歩き出した。
おとなたちは気に留めなかったが、子どもたちはついていった。
愚者は竜の影を知らぬまま、雲を追い、川を渡り、森に迷い込み、また転んだ。
子どもたちは愚者の転ぶ姿に笑い、立ち上がる姿に励まされ、空を見上げる仕草に夢を見た。
勇者の像は広場に残り、子どもたちの姿は消えた。
未来は、愚者と子どもたちに託された。
勇者が救った世界の上で、愚者と子どもたちは新しい物語を開き続けることになる。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:愚者は未来を拓く
石に刻む
勇者の勝利
祈る声
子らの憧れ
広場に満ちる
泥まみれ
転びて笑う
愚者ひとり
雲を竜とし
子らの耳残る
勝敗を
知らず歩みて
転び立つ
愚者の始まり
いつも新しく
広場より
外へ歩めば
子ら集い
雲追い渡る
川と森へと
像は残り
子らは消えて
未来託す
愚者とともに
物語は拓く
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




