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隆太は啓太の肩を叩き、優しい眼差しを向ける。

『これであと四つだな、啓太』

『うん、必ず見つけてみせるよ』

隆太は拡声器を手に取り、みんなに報告をした。

『ようやくひとつが見つかりました。ここで一旦、昼食休憩を取りましょう。昼からは残りの四つを必ず探し出しましょう』


そう話す隆太に続き、啓太も言った。

『今日は本当にありがとうございます。あと四つお願いします。あと四つのイニシャルは「U」「S」「O」「I」です』

ひとつ見つかったことで啓太をはじめ、みんなの心に「よし、やるぞ」という決意がより強まった。


そして昼食休憩が始まった。

啓太の母の配慮もあり、おにぎりと飲料水の用意までされている。

隆太は啓太たちに、みんなに配るよう指示した。

『隆太さん、こんなことまでしてもらっていいの?』

『いいんだよ。とにかく早く配ってこい』

『隆太さん、恩は仕事で返すから』


啓太の母よりこのことは、本人には言わないよう口止めされていた隆太だった。

配り終えた啓太は信二たちに良子のところへ少し行ってくることを伝えた。

京子は信二たちと一緒だ。

良子の元へ辿り着いた啓太。


『良子さん、来てくれてありがとう。俺、片山さんに話したいことがあって』

『話し・・・片山くんに?私も啓太くんに話しがあるの』

『何なの?良子さん』

片山が割って入り強い口調で話した。

『ああ、啓太くん。気にしないでくれ。良子の言いたいことは大した事じゃない。それより俺に話しって何だ?』

『片山さん、竹田さんって老人を知ってますよね』

『それがどうかしたか?』

『一体どんな話しをしていたのですか?』

『きみが知ることではない』

『沙織梨さんの事なら僕にだって知る権利はあるんだ』

『きみは黙って剣山を探せばいい』

『ちょっと片山くん、なんて言い方なの。啓太くん、ごめんね』

『いや、いいんだよ』

『啓太さん、私も手伝いに来たわよ』

『兼崎さん』

『片山さんじゃない。啓太くん、京子さんの悪い噂。私はこの人から聞いたんだ』

『俺は噂より京子を信じているんだ』


戸惑う良子が片山に言う。

『片山くん、あなた一体何を企んでいるの?』

『企むなんて人聞き悪いぜ、良子』

『じゃあ、説明してよ』

『みんな、何を怒ってるんだ。京子って女は過去にいろんな男と遊んでいたから、啓太くんを思って早く別れさせてやるべきなんだよ』


『本当なの?兼崎さん』

『うん、本当だよ。最初は私も嘘だと思ったけどね』

『片山くん、何てことを言うの。啓太くん、作り話だわ。気にすることなんてないわ』

『良子さんの話したいことってそれなの?』

『啓太くん・・・』

『俺、京子のとこへ行くから』

啓太はそう言い残し、背を向けて走り出した。

良子は片山を睨みつけた。



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