47
『京子さん、僕が好きなのは君だけだから。沙織梨さんの魂を成仏させてあげたいだけ。だから安心してほしいんだ』
『そんなのわかってるよ。あと五つ見つかればいいね』
『ありがとう』
啓太はこの日が晴れたことに心から深く感謝をした。
そして京子とふたり、歩いて回った。
『お〜い、啓太』
遠くから信二の呼ぶ声が聞こえた。
声がした方向へ啓太と京子は振り返る。
京子は思わず吹き出してしまった。
啓太もつられて一緒になって笑った。
なんと信二は土木作業員顔負けのど派手なスタイルで現れた。
しかもハチマキまでつけて、やる気満々だった。
『お前ら、何を笑ってるんだよ。バカヤロー』
『その格好じゃ、誰だって笑ってしまうさ』
京子は笑いが止まらなかった。
信二が連れてきてくれたサークルの仲間も含めて8人くらいが来てくれていた。
『久しぶり、啓太くん』
聡と久美子は、バザーの催し以来だから、本当に久しぶりの対面となる。
『聡さん、久美子さん、ありがとう。本当に久しぶり。元気そうで嬉しいよ』
『あっ、二人は知ってるよね。片瀬京子さんっていってバザーの時、花屋の店員をしていた人』
啓太は京子を引き寄せて紹介した。
そんなことをしているうちに、隆太先導のもと、大勢の町会の人たちや住民がやって来た。
『啓太、どうだ。これだけいたら充分だろう』
『ありがとう、隆太さん。皆さんもありがとうございます』
啓太は胸が熱くなった。
今となっては自分自身を信頼してくれてここまでしてくれる、みんなの気持ちがとても嬉しかった。
啓太はボロボロ、涙を流した。
『隆太さん、ごめん。嬉しくて涙が止まらないよ』
『ははは、涙は剣山をすべて集めた時にとっておけ』
やがて集まった人たちは六十人ほどにも膨れあがった。
隆太の指示に従って剣山探しが始まる。
啓太も信二たちと一緒に、スコップを手に取って土を掘り返していく。
みんな、それぞれが加藤沙織梨の霊を成仏させてやろうと、夢中になって剣山を探した。
半時間くらい経った頃、良子が片山と一緒にやって来た。