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働き先である寺田商店に到着した啓太は、早速、隆太に協力をお願いした。

『おはよう、隆太さん』

『おぅ、おはよう、啓太』

『隆太さんにお願いがあるんだよ』

『うん?一体どうした、喧嘩の仲裁か?それとも彼女に振られたか?』

『違うよ、そんなんじゃないよ』

『話しは朝礼が終わってからだ』

『わかったよ、隆太さん』


おもに電気商品を販売したり修理したりする仕事を請け負う寺田商店。

従業員はアルバイトの啓太を含めて五人。

とてもアットホームな職場で、啓太には最適の環境だった。

啓太は日々、帳簿とにらめっこをしている経理担当の専務でもあるです寺田夫人にも言った。


『おばさんにもお願いがあるんだ』

『どうしたの?深刻な顔をして』

『うん、協力してほしいことがあって』

『啓太くん私に協力出来ることがあるから手伝うよ』

たまたま通りがかった社員の梨絵が気遣ってくれる。

『兼崎さん、ありがとう。実はね・・・』

『おい、啓太。朝礼が終わってからにしろ』

『ごめん、隆太さん』


そんなやり取りをしていると、社長である寺田さんが事務所へとやって来た。

朝礼も無事に終わり、それぞれの仕事に取り掛かろうとした矢先に隆太が言った。


『みんな、啓太が協力してほしいことがあるそうだ』

『何なんだ。言ってみろ』

『剣山を探してほしいんだ』

『剣山?』

啓太は丁寧にこれまでの経緯を話す。

『よし、啓太。協力するぞ。町の人たちもきっと協力してくれるさ』

『私も協力するよ。協力させて』

『みんな、ありがとう』

『あのさぁ、啓太くん』

『どうしたの?兼崎さん』

『うん、京子っていう女の人のことだけど・・・良くない噂を聞いたんだ』

『えっ、良くない噂って?』

『片山って男の人から聞いたんだけど』

『片山さんから?』

『啓太くん、気にするから言わなかったけど京子って人、過去に色々とあったそうよ。直接、片山さんに聞いてみたら?詳しいこと知ってるみたい』


事務所奥の倉庫で荷物の仕分けをしていた隆太の呼び声に反応し、啓太は急いで手伝いに走る。

『隆太さん、おまたせ』

『早くこれをトラックに積み込むんだ』


啓太は隆太と一緒にトラックへと荷物を積み込んでいった。

『啓太、さっきの話しだけどな。俺にいい考えがある。ちょっと後で寺田さんに頼んでやるよ』

『ほんとに、隆太さん』

『あぁ、俺らは外回りの仕事が多い。宣伝するんだよ。トラックを走らせながら選挙の連中がしているように拡声器を使って剣山を探してくれるよう町中に呼びかけるのさ』

『さすがは隆太さん。グッドアイデアだね。それで町のみんなが協力してくれたら文句なしだよ』

『そういうことだ。啓太は日取りを決めておけ』

『わかった。信二も大学の仲間やサークルの聡さんや久美子さんを連れてきてくれるし、日曜日がいいね』

『信二たちの都合も聞いて、正式に決まったら俺に知らせろ』


こうして隆太と啓太はいつものように得意先へとトラックを走らせた。

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