チームであること
早朝、化学工場での小規模な爆発事故。
数名の作業員が負傷し、その中に意識障害を伴う呼吸不全患者が含まれていた。
MORUチームが現場に出動し、柊が最初に患者の状態を確認。
柊:「気道熱傷なし、酸素飽和度88%、脈拍110。
とりあえず酸素でいけるか……?」
そう判断して酸素マスクを装着した直後――
患者は痙攣を起こし、急激に血圧が低下。
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神崎:「気管熱傷だ。柊、判断が遅れたぞ!」
柊:「……すみません、でも、喉に外傷は――」
真野:「判断に迷ったら即挿管だろ。
お前、いつから“様子見”する医者になった?」
その言葉に、柊は声を失う。
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病院への搬送後、患者は集中治療室に収容され、
幸いにも命に別状はなかった。
だが柊は、誰にも謝らず、誰とも話さず、ロッカールームで一人、拳を握っていた。
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その夜。
Y-01の整備をしていた柊のもとに、サーシャが飲み物を差し入れる。
サーシャ:「私、昔、注射ミスして患者にあざ作ったことある。
しかも、気づいたの神崎さんで……。
でも、あの人、怒鳴らなかった。“次は絶対にやるな”ってだけ」
柊:「……俺は、ミスで済まないかもしれなかったんだぞ。
MORUにいちゃいけないかもな」
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そこに日向も現れる。
日向:「なら、俺もいちゃいけない。
去年、輸液ルート1本間違えて輸血遅れた。
でも誰かがカバーした。それが、チームだろ?」
真野が静かに声をかける。
真野:「お前が判断した時、間違ってたかもしれない。
けど、次に“迷わず動ける医者”になるために、
ここにいるんだろ?」
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最後に神崎が現れ、柊の肩に手を置く。
神崎:「チームであるってことは、誰かが倒れた時、
他の誰かが立ってるってことだ。
失敗を責め合うんじゃない。
“次にどうするか”を支え合う。それがMORUだ」
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柊は黙って頷き、
Y-01の鍵を手に取った。
「……次は、絶対に間違えない。
俺がこのチームにいる意味、ちゃんと証明する」