蒼鷹の選択
厚生労働省から蒼鷹総合病院に通達が届いた。
それは――
「MORUの活動をNEPTの下部機関として統合する」
という提案であり、事実上の吸収。
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NEPT上層部は「人的・技術的連携」「医療体制の一本化による効率化」を掲げるが、
現場の声は揺れていた。
神崎:「俺たちは、“人を救う”ためにこのチームを動かしてきた。
誰かの指揮下で、命を“選ばされる”ようになったら、
それはもうMORUじゃない」
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嶋崎院長も、病院の経営陣に問いかける。
嶋崎:「制度の中で守られる命は大事だ。
だが、“制度が間に合わない命”があることも、我々は忘れてはいけない」
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チーム内でも意見は分かれた。
日向:「国のバックアップがつけば、予算も人材も増える」
柊:「でもそれで、目の前の命に手が届かなくなるなら、意味ないっす」
サーシャ:「正しさより、私は“救いたい”っていう想いの側にいたい」
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NEPTの南雲は神崎に直接対話を申し出る。
南雲:「僕は君を尊敬している。
でも、医療は個人の情熱だけでは変えられない。
大きな制度に、正義を乗せなければ――」
神崎:「正義は、現場が持ってる。
命が目の前で消えていく時、机の上の正義は、間に合わない」
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最終判断を下すため、神崎はチーム全員をY-01に集めた。
「これは俺一人のチームじゃない。
お前らが決めろ。続けるか、終わらせるか――」
全員が黙ったまま顔を見合わせ、そして一人、また一人と頷いた。
真野:「やるべきことは、最初から変わってない」
柊:「俺たちは、“誰も死なせない”ためにここにいる」
サーシャ:「だから、やる」
日向:「MORUは、止まらない」
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数日後、病院からの回答が公表された。
「蒼鷹総合病院は、MORUを“独立した現場部隊”として維持する」
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制度に従わなかったことで、国の支援は減る。
それでも、神崎たちは今日も現場に向かう。
命が、待っているから。
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Y-01のエンジンがかかる。
神崎:「行くぞ。今日も、“全員を生かす”ぞ」
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シーズン3・完