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第八章 秘められた過去と、揺れる心
放課後の校舎の一室。千紗は重い口を開いた。
「光くん、実は私、普通の転校生じゃない。私の家系は、異能力者を監視・管理する最高機関の中枢に関わっているの」
光は驚きのあまり、椅子にもたれかかった。
「だから私が君のそばにいるのは、任務だけじゃなくて……自分の意思でもある」
千紗の瞳は真剣だったが、どこか儚げで、いつもとは違う一面を見せていた。
「君の力は危険だと言われてるけど、私は信じたい。君の本当の心を」
光は静かに頷いた。
「俺も、千紗のことを信じてる。秘密を共有できて、少し楽になった気がする」
その瞬間、携帯電話が鳴った。着信は管理局からだった。
「緊急の報告です。光君、能力暴走の可能性が指摘されています。至急、施設に来てください」
千紗と光は顔を見合わせ、すぐに行動を開始した。
二人の絆が試される、新たな試練の始まりだった。