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第三章 揺れる心と、秘密の約束

 放課後の教室。窓から差し込む夕日が千紗の長い黒髪をオレンジ色に染めていた。

 「ねえ、光くん」

 千紗がぽつりと呟く。いつもは冷静で無表情な彼女が、ほんの少しだけ目を伏せるその様子に、光の胸はわずかに高鳴った。

 「君、私が何者か、わかってる?」

 光は肩をすくめる。

 「ただの転校生で、クラスメイトだろ?」

 千紗は小さく笑う。

 「そう思ってくれて嬉しいけど、私は違う。高保庁の監視員。あなたの能力は危険だから、見守るためにここにいるの」

 「それを隠してたのか?」

 「ええ。でも、嘘をつきたくなかったから、少しずつ真実を伝えている」

 千紗の目がじっと光を捉える。

 「それに……私は光くんに惹かれてしまった。これは任務じゃない、私の本心」

 光は彼女の顔を間近に感じ、思わず息を呑む。

 「でも、俺はそんなに特別じゃない。能力は危険だけど、普通に生きたいだけなんだ」

 千紗は光の手を取り、その手を自分の頬に優しく当てた。

 「その普通を守るために、私も戦うよ。光くん、一緒に歩いてほしい」

 光の心の壁がゆっくりと崩れていくのを感じた。

 その瞬間、教室の扉が音もなく開いた。廊下からは数名の制服姿の大人たちが静かに入ってきた。

 「異能力管理局より。朝倉光君、同行をお願いします」

 光の瞳に千紗の影が重なった。

 「私がいるから、大丈夫」

 小さな囁きが、光の不安をわずかに和らげた。


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