99.スクープ!①
ダダダダダダダダッ
昼休み。
悠木との、昼寝の時間。
静かなはずの図書室に似つかわしくない音が、どんどんと近づいて来る。
・・・・なんだ、地響きか?地震かっ?!
爆睡中の悠木の隣でウトウトと微睡んでいた俺は、思わず顔を上げて身構えた。
ここは図書室だ。
大きな地震なんか起きた日には、上から本(危険物)が降ってくるかもしれない。
その前に、悠木を机の下に避難させないと!
なんていうのは、全くの杞憂だったらしい。
音の発生源は、走って来た夏川の足音だった。
・・・・ここ、図書室だぞ?
図書室を全速力で走るバカがどこにいんだ?
ほら、先生も周りも、睨んでるじゃないかっ!
「四条っ!」
「しっ!」
声を上げる夏川を、俺は慌てて制した。
「あっ・・・・ごめん」
寝ている悠木に気付いたようで、夏川は格段にトーンダウンした声でそう謝る。
いやいや。
悠木を気遣ってくれるのはありがたいけど。
ここ、図書室だからな?本を読んだり勉強したりするところだからな?
まぁ、専ら昼寝しかしてない俺達が言える事でもないかもしれないけど。
だから、悠木が寝てなくたって、普通は静かにしなくちゃいけないとこなんだ。
お前、そんなんじゃいつか出禁になるぞ・・・・ま、出禁になったとこで、滅多に来ない夏川なら、そう困ることも無いかもしれないけどな。
そんなことを思われているなどとは露ほども思っていないだろう夏川は、俺の前に座ると、スマホ画面を俺の前に突き出した。
「これ、見て!」
「ん?」
夏川のスマホに表示されていたのは、いわゆるネットニュース。それも、スクープ扱いの記事。
タイトルは。
【ルイ、同学年のNさんと交際か?!】
記事の下には、モデル・ルイの、後光でもしょってるんじゃないかと思えるくらいの、眩しい笑顔の写真。
さすがに、『Nさん』の写真は載っていなかった。
同学年の・・・・N、さん・・・・
ふいに、先日の真菜さんの言葉が頭に蘇る。
『モデルの仲間内では、ルイの彼女は同じ年の『夏希』って子、ってことになってるのよ』
記事によると、ルイはその同学年のNさんにゾッコンで、仲間内でよくNさんの話をしており、事務所も公認の彼女とのこと。
ルイ曰く、『料理が上手で優しくて信頼できる人』らしい。
ゆうき~・・・・お前一体、誰に何喋ってんだ?こんなおかしな記事になってるぞっ!
なんだよ、事務所公認の彼女って!
つーか、誰だよ、この【関係者】って!
まさか、真菜さんじゃないだろうな・・・・
頭を抱えたくなる俺の前では、夏川が何やら大興奮な様子。
「ねぇねぇ、四条」
「なんだよ」
「もしかして・・・・もしかして、さ」
夏川のキラキラした真っ直ぐな瞳に、胸がドキリと音を立てる。
夏川は、変なところで勘がいい。
テストの山勘は、ことごとく外すクセに。
まさか・・・・まさか、悠木がルイだって、夏川にバレたっ?!
それで、Nが俺だってのも、バレたのかっ?!




