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85.痴話喧嘩③

「悪い、藤沢」

「ああ」


 頭を抱えている藤沢に一旦断りを入れてからスマホを見れば、発信者は悠木。


 あれ?あいつ今日仕事じゃ・・・・


 そう思いながらも電話に出ると。


 ”しじょー、どうしよ・・・・”


 困り切った悠木の声が聞こえてきた。


「えっ?どうしたっ?!」

 ”夏川さん・・・・”

「はっ?」


 悠木は暫く黙り込んだ。

 すると、スマホ越しに、女の泣き声が聞こえてきた。


 え?泣いてるの、夏川?!


「つーかお前、仕事は?」

 ”早く終わった。しじょーのとこ行こうと思ったら、夏川さんから電話あって”

「今、どこにいるんだ?」


 悠木が答えたのは、家の近所のファストフード店。

 てことは。


 夏川のやつ、店の中で大泣きしてるってことっ?!

 ウソだろ、あの夏川がっ?!


「今から連れて来られるか?」

 ”うん”

「じゃ、待ってる」

 ”・・・・ありがと”


 電話を切り、俺はまだ頭を抱えたままの藤沢に言った。


「悪いけど、俺の部屋に行っててくれるか?」

「え?なんで?」

「これから、夏川来るから」

「・・・・えっ?!」

「悠木と一緒に」


 状況が全く飲み込めないようで、暫くの間藤沢は、目をパチクリさせて俺を見ていた。





「だから言っただろ。藤沢の前でルイの話なんかするなって」


【ルイ】のところで、悠木がビクッと体を震わせたのが、視界の隅に入った。


 そっか、そうだよな。

 悠木は【瑠偉】だもんな。

 あー、紛らわしい。


 藤沢がようやく事態を飲み込んで俺の部屋に入った直後、悠木に連れられた夏川が俺の家にやって来た。

 出迎えた俺は、藤沢の靴に気付き、慌てて下駄箱の中に放り込んで、2人を出迎え、リビングに通した。

 泣いたままの夏川からは話を聞ける状況でも無く、悠木から大体の状況を聞いた俺は、今、夏川に説教をしているところだ。


「なんでよ・・・・ルイはルイじゃない。大好きな有名人の話するくらい、いいじゃない。なのに、なんであんなこと言われなきゃいけないのよ・・・・」


 聞くところによると、どうやら藤沢は夏川に


『そんなに好きなら、ルイと付き合えばいいだろ』


 と言ったらしい。

 ・・・・正直、それもどうかとは、思うけれども。

 でも、ルイの話をしている時の、夏川のあの浮かれっぷりを知っている俺には、夏川大好きな藤沢の気持ちも分からなくはない。

 おまけに藤沢は、ルイの正体も知っている。

 心情的には、複雑この上ないだろう。

 ま、俺には敵わないだろうけど、な。


 夏川の言いたい事も、分からなくは無いんだ。

 芸能人の誰それが好き!

 なんてのは、良くある話で。

 彼女がそんな事を言ったからといって、イチイチ芸能人相手に嫉妬する彼氏なんて、そう多くはないだろう。


 さて。

 夏川にはどう言えば分かってもらえるだろうか。

 考え始めてすぐ、ふと、思い浮かんだ。

 あの、元日の朝の光景が。

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