8.1回目の誕生日会
あの超絶イケメンが、悠木・・・・
つーか、悠木って、あんなイケメンだったのか・・・・
感心してその変貌ぶりを眺めていた俺の前に、悠木がずいっと、小さな箱を押し付けてくる。
「なんだよ?」
「ケーキ」
「はっ?」
「誕生日」
「えっ・・・・あぁ、俺の?!」
慌ててカレンダーを見れば、今日は俺の誕生日だった。
えっ、嘘だろ?
わざわざ、俺の誕生日のために?
ケーキ持って?
つか、何で知ってるんだよ、俺の誕生日なんて。
いやいや、その前に。
撮影って、なんだよっ!
頭の中が疑問符だらけだ。
こんな時は、一度落ち着く必要がある。
「ちょっと待ってろ。コーヒー入れて来るから」
小さく頷くと、悠木はケーキの箱を開け始める。
ケーキは悠木に任せ、俺はキッチンへ向かった。
湯を沸かしながら、俺は何度も深呼吸を繰り返した。
この短時間で起きた出来事に、全く頭がついていっていない。
まず。
あの超絶イケメンが悠木だったこと。
悠木は「撮影が」と言っていた。それってもしかして・・・・あの噂のモデルは、悠木だってことか?!
で、俺の誕生日。
俺、自分でも忘れてたくらいだぞ?俺が悠木に話す訳無い。
ってことは、誰かから聞いた?・・・・誰から?
俺の誕生日知ってる奴なんて、校内じゃきっと夏川くらいだぞ。
悠木が夏川と話してる所なんて見た事ないけど。
しかも、わざわざケーキまで。こんな遅い時間になってまで。
「わっかんねーっ!」
結局何一つ整理できず、俺はインスタントコーヒーを入れたカップに湯を注ぎ、ケーキ用の皿とナイフとフォークをトレイに乗せて、そのまま部屋へと戻った。
「わっ・・・・暗っ!」
入った部屋の中は薄暗く、明かりは中央のテーブルにのせられたケーキのろうそくだけ。
しかも、そのろうそくの数は、たった1本。
目が馴れて来たところでテーブルまでたどりつき、コーヒーと皿とフォークをそれぞれテーブルの上に置いた俺に、悠木は言った。
「しじょー、誕生日、おめでとう」
「あ、あぁ。ありがとう」
暗がりの中、ダサメガネ越しの悠木の目が、嬉しそうに笑っているように見えた。
「なぁ、聞いてもいいか?」
「なに?」
「なんで、ろうそく1本なんだ?」
俺の質問に、何故だか悠木は照れたような表情を浮かべる。
「1回目だから」
「何が?」
「しじょーの誕生日、祝うの」
・・・・参った。
悠木相手に、何故にこうにも照れているんだ、俺は。




