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78.初詣へ①

「せっかくだから、初詣行こうぜ」


 年越し直後。

 やっとの思いで起こした悠木と一緒に戻ったリビングで、顔を赤くした藤沢が、突然そんな事を言い始めた。


 はは~ん、やっぱりな。

 隣の夏川も、なんだか妙に大人しいし。

 人んちで、何してくれてんだよ、まったく。

 まぁ、藤沢なら、いいけどさ。


 おそらく、藤沢としては精一杯の、照れ隠しの提案だったんだろう。

 藤沢の一言で、俺達4人は朝まで各々睡眠を取ったあと、近所の神社へ初詣に行くことになった。

 もちろん。

 藤沢と俺は、俺の部屋で。

 夏川と悠木は、和室で。(悠木には念のため、メガネをしたまま寝るように言って)

 それぞれ眠った訳で。


「藤沢、悪い。うち、客用の布団、二組しか無い」


 和室にもう一組、夏川用の布団を敷き終えて部屋に戻ると、藤沢がセーターを脱いで半袖Tシャツ姿で、俺を待っていた。

 一応、ここはレディーファーストだろうと、客用の布団は夏川と悠木に使わせたから、あとは俺のベッドが一つあるだけだ。

 だから、藤沢には悪いけど、絨毯の上に毛布だけで寝て貰おうと思っていたのだが。


「ああ、気にするな。俺、狭くても全然、問題無いから」

「え?」

「早く寝ようぜ」


 そう言って、藤沢はさっさと俺のベッドに潜り込む。

 俺は目が点になった。


 ウソだろ?

 マジかっ?!


「どうした、四条?」


 まさかの、藤沢との添い寝っ?!

 しかも、年の初っ端の、元日からっ?!


「なぁ、藤沢」

「ん?」

「やっぱお前、あっちで夏川と寝てくれば?」

「ばっ・・・・なななななに言ってんだ、四条っ!」


 耳の先まで真っ赤にして、藤沢が目を剥いて俺を見る。

 その反応に少しだけ安心した俺は、笑いながら藤沢が待つベッドに潜り込んだ。


「ほんと真面目な、お前」

「うるせぇっ」

「そんなお前、嫌いじゃねぇぞ」

「ふんっ」


 ふて腐れたのか照れ隠しなのか。

 藤沢は、壁の方を向いてしまい、俺に背中を向けたまま。

 いくらも経たないうちに、小さなイビキが聞こえてきた。

 藤沢が先に入っていたベッドの中は、いつものようなヒヤッとした感触が無く。


 藤沢よ、湯たんぽか、お前は。


 程よい温もりを感じながら、俺もいつの間にか、眠りに落ちていたのだった。



 やがて迎えた朝。


「四条っ!ねぇっ、四条ってばっ!悠木、ぜんっぜん、起きないんだけどっ・・・・ってっ!ちょっ、あんたたち、どーゆー関係っ?!」


 夏川のけたたましい声に叩き起こされた俺が、まず最初に目にしたものは。


 ・・・・んっ?


 真っ白なTシャツの襟もとと、褐色の首筋。


 ・・・・んんっ?


 少し視線を上げた先には。


「わっ!!」


 俺は慌ててベッドから飛び起きた。

 あろうことか俺は、藤沢に正面から抱きしめられながら、眠っていたらしい。


「あ~・・・・もう、朝か?」


 ベッドの中では、寝ぼけ眼の藤沢が、まだ寝足りなさそうな顔をしている。


「悠木か?悠木だな。分かった。俺が起こしてくる。任せとけ」


 ドン引きしている夏川と寝ぼけたままの藤沢を部屋に残し、俺は急いで和室に向かった。


 ”ちょっと~っ、藤沢っ!起きなさーいっ!!”

 ”いてっ、なんだよ夏川っ、ちょっ・・・・やめろって!”

 ”うるさいっ!藤沢のばかっ!”


 あー・・・・ありゃ、相当夏川にやられそうだな・・・・


 未だ眠りこけている悠木の幸せそうな寝顔を見ながら、俺はしばらくの間、部屋から聞こえて来る藤沢と夏川のドタバタ劇を楽しんでいた。

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