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73.カウントダウンの誘い

「なぁ、四条」

「ん?」


 二学期の最終日。

 終業式も終わった帰り道。

 俺は藤沢と並んで歩いていた。

 俺たちの後ろには、夏川と悠木が、同じように並んで歩いている。

 俺は、カテキョの悠木先生のお陰で、結構な成績。補講の心配は、一切無し。

 藤沢は塾に通い始めたとかで、俺に同じく、補講の心配はなし。

 藤沢曰く、『瑠偉に教えてもらおうと思ってたんだけど、できの悪い生徒は一人で十分だって、断られた』とのこと。

 …できの悪い生徒って、俺かよ、まったく。

 で。

 夏川は夏川なりに、休み時間に悠木を捕まえては、分からないところを聞いて、頑張っていたらしい。

 悠木はもう、言わずもがな。

 ってわけで。

 俺たち四人は全員、補講を免れていた。


「年末年始、どうするんだ?親父さんとお袋さんのとこ、帰るのか?」

「あー、まだ決めてねえ」


 かあちゃんからは、帰ってこいと言われていた。

 でも、30日にバイト入ってるから、帰るとしても、大晦日だ。

 帰ったら帰ったで、親父とかあちゃんと一緒にお節食って、テレビ見ながらグダグダできるし。ゆっくりできるなぁ、とは思う。

 ただ。

 3日にバイト入ってるから、2日には戻ってこないといけない。

 そんなシフトにした俺が悪いんだけど、二泊三日で慌ただしく帰るのもな、と思うと、どうにも決断できないでいた。


 本当は、理由はそれだけではない。


 俺がいなくても、悠木には鍵を預けてあるから、悠木の心配はしなくていいけど。

 家にいれば、悠木が来るかもしれない。

 悠木に会えるかもしれない。

 なんなら、勉強にかこつけて、呼び出せるかもしれない。

 そんな思いがあるのも、事実だ。


 …会えたところで、何があるわけでも無いんだけどな。

 悠木と俺との間には。


「じゃあ、さ」


 そう言う藤沢の顔が、何やら嬉しそうに綻ぶ。

 藤沢がそんな顔をする時は、夏川絡みに決まってる。

 今度はいったい、何を言い出すんだ?


 身構えた俺に、藤沢は言った。


「一緒に年末カウントダウン、しないか?」

「え?」

「まだ決めてないなら、一緒に年越ししようぜ」


 藤沢は、少年のように目をキラキラさせている。


 え?

 言う相手間違ってないか?

 俺、夏川じゃねぇぞ?


「俺たち、来年の年末はそれどころじゃないだろ?だから、さ」


 今度は、なにやら照れ臭そうに笑う藤沢。

 なにこれ。

 カップルの会話かよ。


「藤沢さぁ」

「なんだ?」

「お前、俺のこと好きだろ」

「ああ」

「え?」

「ん?」


 からかったつもりが真顔で返され、俺はマジマジと藤沢を見つめた。

 だが、藤沢も【なにか?】とでも言わんばかりに、俺を見つめ返す。


「言っただろ、俺、四条も夏川も瑠偉もみんな好きだし、大事だって」


「あ、あぁ」


 あー、びっくりした。


 と思っていたのは俺だけではなかったらしい。

 後ろから、安堵のため息が2つ、聞こえてきたから。


 ピュア過ぎるぞ、藤沢。

 無自覚も、大概にしろよ?


 とは言え。

 藤沢の言うとおり、来年の年末年始なんて、カウントダウンなんかしてる場合じゃないだろうな、俺達受験生は。

 やるなら、今年しかない。


「やるか、年末カウントダウン」


 うん!と、藤沢が嬉しそうに笑う後ろで。

 夏川と悠木が、もの言いたげな顔で俺を見ていた。

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