67.藤沢の告白③
「お待たせ~」
ほどなくして、夏川がやってきた。
そして、当然のように、藤沢の隣に座る。
その、距離感。
なんかほんと、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいの、絶妙な、距離。
お互いにまだ照れがあるのか、藤沢がデレデレなのはもう見慣れているからいいとしても、あの夏川が、なんだかすごい可愛らしく見えてくるくらいに、控えめに照れているなんて!
コレ、誰?
ホントに、夏川?
あまりの雰囲気の代わり様にポカンとしていると。
「ここに呼ばれたってことは、全部聞いた、ってことだよね?」
視線をテーブルに落としたまま、夏川が口を開いた。
これまたいつもよりも数段、控えめな口調で。
夏川と俺の間には、まだ見えない壁でもあるような。
「あ、あぁ」
やっぱりまだ、夏川と顔を合わせるには、早かったんじゃないだろうか・・・・
そう思った直後。
「じゃ、そゆことで」
そう言って、夏川は視線を上げて俺を見ると、ニッと笑った。
それはいつもと変わらない、夏川の笑顔。
「これからもよろしくね、四条」
一気に壁が、無くなった気がした。
「うん」
俺もつられて、笑顔を返す。
すげーな、夏川。
やっぱお前、天才だわ。
俺にはできない、こんなこと。
ちょうどのタイミングで、藤沢が注文したパンケーキが運ばれてきた。
人数分の、3つのパンケーキ。
「藤沢」
「ん?」
「お前もしかして、最初から夏川呼ぶ気だっただろ?」
「えっ・・・・なんで?!」
「・・・・お前、やっぱり俺の事バカにしてないか?」
「だから、してないって」
俺と言い合う藤沢の隣では、夏川が目の前のパンケーキに目を輝かせている。
「ん~いい匂い!いただきまーすっ!」
「おいしい?」
「うん!あ、藤沢、イチゴあげる♪好きだったよね?」
「おう、ありがと。じゃ、キウイやるよ」
「えーっ、酸っぱいから嫌いなだけでしょ~?」
「いや~?別に~?」
気付けば何やら俺の目の前では、初々しい【ザ・カップル】の会話が始まっていて。
俺はパンケーキを黙々と食いながら、今ここに悠木がいればなぁ、などと思っていた。
まぁ。
悠木がいたところで、こんな【ザ・カップル】な会話なんて、悠木と俺の間じゃ成立しやしないだろうけど。




